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法人破産・代表者破産の弁護士費用合計は、一律50万円! 森法律事務所は企業の倒産・再生を得意とする法律事務所です。年間取扱企業整理件数は40社以上、国内トップレベルの取り扱い件数です。

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集合債権譲渡担保その2 破産手続との関係(債権譲渡登記がある場合)

森法律事務所は、年間40社以上の企業の清算・再生を扱う、企業の整理再生に関しては、国内有数の法律事務所です。いつでも、お電話・メールをください。
http://www.hasan-net.com/
03-3553-5955
弊所の特徴
① 法人破産代表者破産の弁護士費用合計一律50万円
②会社破産(個人破産は含まない)年間申立て件数40以上。国内トップレベル。
③ 35年の豊富な実績と弁護士16名のマンパワー
④破産会社代表者の破産後の生活確保に全力
⑤ 従業員の給与確保と取引先への配慮に尽力
電話の際は、必ず破産の相談ですと告げてください。専門部にまわします


「集合債権譲渡担保その1」から、お読みください。
以下では、債権譲渡登記がされていることを前提として、述べています。

【第一段階 期限の利益喪失前】
1月1日
アナタは、会社経営が苦しく弁護士と相談して破産することを決意した。
1月7日
売掛金を回収し、他の預金とともに、全額それを弁護士に送金した。受任通知は、まだこの時点ではだしていない。
←この段階では、期限の利益を喪失していないので、破産申立予定会社は、取立権限があります。破産者は、おカネを回収して、予納金や弁護士費用に充当できます。

【第二段階 期限の利益喪失後 譲渡通知前】
1月8日
代理人弁護士は破産する旨の受任通知を出した。ただし、集合債権譲渡担保者は、まだ、特例法4条2項の債権譲渡の通知をしていない。
←(1)この段階では、受任通知がだされたので期限の利益を喪失し、債務者は取立権限を失うので、破産予定者(破産宣告後は管財人)は、債権を回収できません。
(2)しかし、集合債権譲渡担保者は、通知前なので、自己が売掛金の取立権限があることを売掛金支払い義務者に主張できません。
(3)その結果、
①売掛金支払義務者は、集合債権譲渡担保者に支払っても、破産予定者(破産宣告後は管財人)に支払ってもかまわない。
②売掛金支払義務者が、破産予定者(破産宣告後は管財人)に支払ったときは、集合債権譲渡担保者は、自己に返金するよう管財人に請求でき、この請求権は財団債権となる。

【第3段階 期限の利益喪失後 通知後】
1月9日 集合債権譲渡担保権者が特例法4条2項の売掛金譲渡通知を債務者に送付した。
←この段階で、集合債権譲渡担保者は、自己が取立権限があることを破産予定者(破産宣告後は管財人)ばかりか、売掛金支払義務者にも主張できます
売掛金支払義務者が破産予定者(破産宣告後は管財人)にも支払ったときは、集合債権譲渡担保者に二重弁済をすることになります。売掛金支払義務者は、破産管財人に返金を求めることになりますが、この権利は財団債権になります。(「集合債権譲渡担保その3  最判平成16年7月16日と街金業者」へ続く)



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集合債権譲渡担保その1 集合債権譲渡担保登記

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一般にはあまりなじみのない言葉ですが、倒産実務では、この集合債権譲渡担保が問題になることが多いです。
要するに債権者が債務者会社に融資に際し「あんたんとこの売掛金、全部まとめて担保にいれてもらうよ」という担保です。
担保というのは、本来、債務者会社の不動産なんかが普通ですが、まあ、こういうものは、たいてい、銀行なんかが担保に取っている。担保余力はない。こういうとき、そんなら、売掛金を担保にとって融資することが金融実務では、結構、行われています。
対象は、担保設定者が「事業を継続する過程で将来発生する」売掛金債権等で、これを担保の目的で債権者に譲渡します。

ただ、譲渡したといっても、担保目的なので、担保設定者は、対象債権を普通の債権と同じように、取り立てたり、受領できたりします。債権者に譲渡したのに、なんで債務者は回収できるんだ?と疑問に思う人もいるでしょうが、まあ、法律家の世界で、これを疑問に思う人はいません。

それじゃあ、担保をとった意味がないじゃないかと思われるかもしれませんが、支払いを怠ったりして、期限の利益喪失をしたりすると、つまり、融資金をまとめて支払うことになってしまうと、担保設定者は取立権限を失い、担保設定者が回収できることになります。仮に担保設定者が回収しても、担保権者に返金しなければなりません。

この集合債権譲渡担保は、登記することで対抗要件を具備しますが、この債権譲渡登記は平成10年10月の債権譲渡特例法により始まったものです。
民法の原則では、金銭債権を譲渡したことを第三者に主張するには,確定日付のある証書によって債務者へ通知するか 債務者の承諾を得なければなりません。
しかし、民法の原則に対する特例として、会社などの法人がする金銭債権の譲渡などについては,その内容を債権譲渡登記所に登記することにより,債務者以外の第三者に自己の権利を主張することができます。
債権譲渡担保はそれ以前から資金繰りや保全の手段として存在していましたが、この法律により法的な第三者対抗要件が具備され、一般に普及しました。
近年は金融庁がABL(動産・売掛金担保融資)を積極的に推進していることもあり、債権譲渡登記と合わせて資金繰り円滑化の一手段として利用が広がっています。

ただし、金融実務では、「債権譲渡担保の会社=資金繰りが苦しい会社」というイメージがあり、債権譲渡登記をしている会社は、「あぶない」というイメージが、あります。債権譲渡担保そのものが、担保が尽きた会社が、最後に設定する手段に用いられることが多いからです。
実務上も、破産申請を検討する会社は、この債権譲渡担保を設定しているケースに結構遭遇します。
このため施行当初は商業登記に直接登記されていたものが、現在は情報開示が制限され、譲渡人の本店管轄法務局にて「現在事項証明書(債権譲渡登記事項概要ファイル)」と指定して申請して、譲渡の確認をすることになります。(東京都中野区にある東京法務局民事行政部債権登録課が窓口となっています。ただし、情報といっても、債権譲渡登記がない場合は「記録されていない」旨、登記がある場合は「譲受人の名前」くらいの情報しか入手できません。)

それでも、集合債権譲渡担保を設定するということは、債権者側からすると、その会社は、財務的にかなり問題があると取引先は推測してしまいます。取引先の信用調査には、この債権譲渡時の有無の確認が必須とされています。自分も、新規の取引先と取引を開始する場合は、この債権譲渡の登記を確認するようアドバイスしています。
そのため、債務者が債権譲渡登記を嫌がり、登記をしない場合も、あります。

「集合債権譲渡担保その2破産手続との関係(債権譲渡登記がある場合)」へ続く


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破産宣告前、債権者が所有権を主張して商品の取り戻しを請求できるか

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破産申立てに伴い債権者に受任通知をだすと、ほとんどのケースで、債権者が商品の引き上げを請求してくる。
【所有権留保】
一番多いのが信販会社を利用して車を購入している場合である。
信販会社は、ローンを完済するまで、通常、所有権を信販会社で留保でしている。そこで、車の購入者が破産すると通告すると、その車は、信販会社の所有だから引き揚げさせてもらいたいと執拗に破産申請代理人に要求してくる。
もっとも、この場合は、担保のための所有権留保だから、信販会社は取戻権は主張できず、別除権の主張になる。信販会社は、車を引きあげて売却し、売却代金を債権に充当し、不足額を破産債権として届け出ることになる。

【問屋(といや)】
二番目が小売業の破産申請会社に商品を供給している会社が、「うちは、売れた商品だけ卸したことしており、売れていない商品は、まだうちのものだ」と言ってくるケースで、これも結構 多い。
この場合、小売の破産申請会社は、「自己の名をもって他人のために物品の販売または買入れを行」(商法551条)っており、いわゆる委託販売でで、商法上、問屋(といや)と言われる小売形態である。(日常用語でいう問屋(とんや)とは異なる。)
商品を卸している会社は、所有権に基づく取戻し権を主張する。

【動産先取特権】
三番目は、普通の商品を販売した会社が、その売却した商品について動産先取特権があることを理由として、商品の取り戻しを主張する場合である。
動産の売買の場合、動産の売主が「代金を受領する前に目的動産の所有権を売主に移転した」とき、つまり、掛で売ったとき、その代金及び利息について、その動産の上にこの先取特権が認められていて、これを動産売買先取特権という(民法311条5号)。売主は、売買の目的となった動産を目的物として、そこから他の債権者に優先して、その目的物にかかる売買代金債権の弁済を受けることができる。
平成15年の民事執行法改正以前は、債権者が自分で執行官に動産を提出するか占有者の差押え承諾書の提出が、動産先取特権による競売開始の要件だったが、そんなことが現実にできることはなく、破産管財人が協力しない限り、事実上、動産先取り特権に基づく競売は不可能だったが、法改正で動産競売開始決定をもらい、送達ができれば、競売ができるようになった。
その結果、動産売買先取特権を有する者は、別除権者として、破産手続開始後も売買の目的物について自ら競売申立を行ったり、転売代金債権を差し押さえたりすることにより、他の破産債権者に優先して債権を回収することができようになった。
そのため、慎重な管財人だと、競売とか差押などという面倒なことは避け、早期の解決を図るため、往々にして売主が破産管財人から任意に当該動産の引渡しを受けるのと引き換えに、当該動産の価格に相当する額の代金減額を行う旨の合意を取り交わして、競売手続や差押手続によらずに簡易迅速に債権の回収を図ることがある。
これを見越して、返してくれといってくるのである。

このうち、
【所有権留保】については、信販会社が対抗要件を具備していないケースが非常に多い。たいていは、所有者を販売店名義のままにしておく。そうなると、破産管財人には対抗できないから、所有権留保の自動車は、破産財団に組み入れられてしまう。破産申請代理人としては、破産宣告前に、信販会社に「返却」してはならないことになる。
仮に所有権留保が対抗要件を具備していて、破産財団に組み込まれないからといって、勝手に引き上げていいということにならず、あくまでも、破産手続の中で管財人と協議して解決すべきである。

【問屋】の場合、当該債権者は、所有権を主張して取り戻し権を主張できる。これらの商品は、破産財団には組み込まれない。しかし、所有権留保同様、破産財団に組み込まれないからといって、勝手に引き上げていいということにならず、あくまでも、破産手続の中で管財人と協議して解決すべきである。
なお、売り主側は、引き渡しを求める権利があったとしても、所有権留保物件特定する必要がある一方、破産管財人に棚卸を行う義務ー探索義務はない。実際には、取戻権を行使するのは難しい場合が多い。(売り主の調査には、協力すべき義務はあるだろう。)
現実には、売り主との間で在庫商品の売却条件を協議し、管財人が売却することも多い。

【動産先取り特権】にいたっては優先弁済の別除権しかなく、それも、破産手続の中で処理されるべきで、商品取戻を行っていい理由には、ならない。
そもそも、動産先取特権には目的物を支配する権利はなく、破産管財人が目的動産の引渡義務や差押承諾義務があるわけではない。管財人は、先取り特権の主張がなされた場合でも、執行官による差押がされるまでは、先取り特権を無視して売却できる。



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破産直後の建物占有、商品持ち出し対策

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「会社が倒産するという情報が伝わると、強引に債権者が商品持ちだしたり、労働組合が工場を占有したり、あるいは街の高利貸が会社を占有することがある」。
自分が弁護士になったころは、こういう話をよく聞きました。これが怖くて、多くの代表者が、「夜逃げ」したわけです。
というのは、当時、倒産の世界は半分無法地帯で、弁護士が会社の任意整理と称して、債権の優先順位を無視して配当したり、法外な弁護士費用をかってに取得したり、かなり、めちゃくちゃなことをやり、債権者も格別文句は言いませんでした。中には、整理屋に雇われている弁護士もいました。
こういう状況もあって、倒産となると、債権者が押しかけたり、占有屋が建物を占拠したりしたのです。

しかし、現在は、倒産会社の8割以上がきちんとは破産申請をします。いま、弁護士が昔の会社の任意整理と同じようなことをすれば、弁護士自身が訴えられるし、場合によったら懲戒処分になります。普通の弁護士は、会社の任意整理など、こわくて近づけません。
そういうこともあって、債権者も、きちんと裁判所の監視下に清算が行われる破産なら、強引なことはしません。管財人から訴えられたり刑事告訴されるリスクがあるからです。街金なんかどうだといわれるけど、連中は、普通の債権者よりも慎重で、警察に逮捕の口実を与えるようなマネはしません。占有屋は、ほとんど見かけなくなりました。

しかし、それでも最悪の場合に備えて対策をとる必要があります。いったん、債権者や占有屋に占拠されると、原状を回復するためには、管財人に大変な労力と財政的負担を強いることになります。それは、予納金にも影響し、20万円の予納金では裁判所は受けつけてくれないばかりか、さらに高額な予納金を要求される可能性が高くなります。
そこで、一部債権者に不穏な動きが予想されるときは、破産申立てに際し、不動産とその中にある商品や重要動産を占拠されないよう配慮しなければなりません。

そのために以下のことを処理します。
① 会社や工場に、申立人代理人弁護士名で立ち入りを禁止する貼り紙をする。
(破られないよう、窓の内側から貼るとか、ドアを封印する形で貼ることもある。)
② 商品持ち去りの危険性が高いときは、商品を持ち去られないよう厳重に施錠する。鍵だけでは不十分なときは、見張りの人員を配置する。
その他にも、ベテラン弁護士なら、いろいろなノウハウがあります。

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協力業者等の取引債権者に対する配慮

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会社を破産させるとき多くの経営者が苦悩するのは、商品を納めてくれていた業者や下請け業者への買掛金などを踏み倒すことだ。
破産申立会社に対する依存度の高い協力企業など、資金繰りがひっ迫することは目に見えている。ましてや、毎月の支払いを手形でし、その支払日が数か月先の時は、その会社は、その数か月分の手形が吹き飛んでしまうことになる。こうなると、その企業は、連鎖倒産のリスクが赤信号になる。
そのため、つい偏波弁済をする誘惑にかられるのだが、偏波弁済をしたら、アウトだ。取引業者にも迷惑をかけることになる。取引業者への配慮は、偏波弁済以外の方法で確保しなければならない。
ただ、その方法は限られている。

1、 仕入れを控える。
破産申立会社代表者としては、破産を選択肢として考えた場合は、その時点から、仕入れはできるだけ控えるべきである。
この時期の仕入れは、取引業者からすれば、詐欺同然に見えるものであり、後日、債権者からクレームがくるのも、たいていは、この時期の仕入れである。

2、金策の時間の確保
破産申立で一番注意を要するのは、Xデーを何時にするかだ。たいていは、売掛金が入金された日時以降で、手形や買掛金の支払い日時以前の日時をXデーにする。しかし、複数の売掛金入金日、複数の手形決済日が設定されているときは、その中で何時をXデーにするかは、それなりの経験とノウハウが必要だ。
このXデーの選択に当たっては、「できるだけ多くの資金を破産管財人に引き継げる日は何時か」を基準に考えることになるが、協力事業者等の債権者への配慮も忘れてはならない。
というのは、破産申立会社への依存度の高い企業ほど、破産申立会社からの入金日にあわせて支払日を設定しているからだ。もし、複数の選択が可能なら、その中で、取引業者の手形の支払い日より、できるだけ前にXデーを選択しなければならない。取引業者の金策等の時間をできるだけ確保するためだ。

3、連鎖倒産防止制度の告知
金策の時間を確保したのちは、金策の告知をすることになる。
これについては、以前のブログ「受任通知の債権者への配慮  連鎖倒産防止への配慮」Category:債権者との対応 Date:2015年02月15で以下のように述べている。
「うちの事務所では、受任通知書に簡単だが、債権者に謝罪するとともに、経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)の利用について協力する旨を説明をし、あわせて他の連鎖倒産防止制度について触れるようにしている。」
また、これとは別に各地方自体には、それぞれ独自の連鎖倒産防止融資制度があることが多い。

倒産のノウハウ本には、従業員の給料確保は触れているが、会社破産で一番考慮すべきは、連鎖倒産の防止だ。
しかし、だからといって、偏波弁済をしてはならない。偏波弁済等違法な行為は、取引先に紛争に巻き込み、かえって迷惑かけることになる。




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