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破産宣告前、債権者が所有権を主張して商品の取り戻しを請求できるか

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破産申立てに伴い債権者に受任通知をだすと、ほとんどのケースで、債権者が商品の引き上げを請求してくる。
【所有権留保】
一番多いのが信販会社を利用して車を購入している場合である。
信販会社は、ローンを完済するまで、通常、所有権を信販会社で留保でしている。そこで、車の購入者が破産すると通告すると、その車は、信販会社の所有だから引き揚げさせてもらいたいと執拗に破産申請代理人に要求してくる。
もっとも、この場合は、担保のための所有権留保だから、信販会社は取戻権は主張できず、別除権の主張になる。信販会社は、車を引きあげて売却し、売却代金を債権に充当し、不足額を破産債権として届け出ることになる。

【問屋(といや)】
二番目が小売業の破産申請会社に商品を供給している会社が、「うちは、売れた商品だけ卸したことしており、売れていない商品は、まだうちのものだ」と言ってくるケースで、これも結構 多い。
この場合、小売の破産申請会社は、「自己の名をもって他人のために物品の販売または買入れを行」(商法551条)っており、いわゆる委託販売でで、商法上、問屋(といや)と言われる小売形態である。(日常用語でいう問屋(とんや)とは異なる。)
商品を卸している会社は、所有権に基づく取戻し権を主張する。

【動産先取特権】
三番目は、普通の商品を販売した会社が、その売却した商品について動産先取特権があることを理由として、商品の取り戻しを主張する場合である。
動産の売買の場合、動産の売主が「代金を受領する前に目的動産の所有権を売主に移転した」とき、つまり、掛で売ったとき、その代金及び利息について、その動産の上にこの先取特権が認められていて、これを動産売買先取特権という(民法311条5号)。売主は、売買の目的となった動産を目的物として、そこから他の債権者に優先して、その目的物にかかる売買代金債権の弁済を受けることができる。
平成15年の民事執行法改正以前は、債権者が自分で執行官に動産を提出するか占有者の差押え承諾書の提出が、動産先取特権による競売開始の要件だったが、そんなことが現実にできることはなく、破産管財人が協力しない限り、事実上、動産先取り特権に基づく競売は不可能だったが、法改正で動産競売開始決定をもらい、送達ができれば、競売ができるようになった。
その結果、動産売買先取特権を有する者は、別除権者として、破産手続開始後も売買の目的物について自ら競売申立を行ったり、転売代金債権を差し押さえたりすることにより、他の破産債権者に優先して債権を回収することができようになった。
そのため、慎重な管財人だと、競売とか差押などという面倒なことは避け、早期の解決を図るため、往々にして売主が破産管財人から任意に当該動産の引渡しを受けるのと引き換えに、当該動産の価格に相当する額の代金減額を行う旨の合意を取り交わして、競売手続や差押手続によらずに簡易迅速に債権の回収を図ることがある。
これを見越して、返してくれといってくるのである。

このうち、
【所有権留保】については、信販会社が対抗要件を具備していないケースが非常に多い。たいていは、所有者を販売店名義のままにしておく。そうなると、破産管財人には対抗できないから、所有権留保の自動車は、破産財団に組み入れられてしまう。破産申請代理人としては、破産宣告前に、信販会社に「返却」してはならないことになる。
仮に所有権留保が対抗要件を具備していて、破産財団に組み込まれないからといって、勝手に引き上げていいということにならず、あくまでも、破産手続の中で管財人と協議して解決すべきである。

【問屋】の場合、当該債権者は、所有権を主張して取り戻し権を主張できる。これらの商品は、破産財団には組み込まれない。しかし、所有権留保同様、破産財団に組み込まれないからといって、勝手に引き上げていいということにならず、あくまでも、破産手続の中で管財人と協議して解決すべきである。
なお、売り主側は、引き渡しを求める権利があったとしても、所有権留保物件特定する必要がある一方、破産管財人に棚卸を行う義務ー探索義務はない。実際には、取戻権を行使するのは難しい場合が多い。(売り主の調査には、協力すべき義務はあるだろう。)
現実には、売り主との間で在庫商品の売却条件を協議し、管財人が売却することも多い。

【動産先取り特権】にいたっては優先弁済の別除権しかなく、それも、破産手続の中で処理されるべきで、商品取戻を行っていい理由には、ならない。
そもそも、動産先取特権には目的物を支配する権利はなく、破産管財人が目的動産の引渡義務や差押承諾義務があるわけではない。管財人は、先取り特権の主張がなされた場合でも、執行官による差押がされるまでは、先取り特権を無視して売却できる。



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