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法人破産・代表者破産の弁護士費用合計は、一律50万円! 森法律事務所は企業の倒産・再生を得意とする法律事務所です。年間取扱企業整理件数は40社以上、国内トップレベルの取り扱い件数です。

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99万円を超える自由財産の確保

森法律事務所は、年間40社以上の企業の清算・再生を扱う、企業の整理再生に関しては、国内有数の法律事務所です。いつでも、お電話・メールをください。
http://www.hasan-net.com/
03-3553-5955
弊所の特徴
① 法人破産代表者破産の弁護士費用合計一律50万円
②会社破産(個人破産は含まない)年間申立て件数40以上。国内トップレベル。
③ 35年の豊富な実績と弁護士16名のマンパワー
④破産会社代表者の破産後の生活確保に全力
⑤ 従業員の給与確保と取引先への配慮に尽力
電話の際は、必ず破産の相談ですと告げてください。専門部にまわします

破産しても、手元に99万円の現金は保持できるし、必要性と相当性が認められるときは、99万円の範囲内で現金以外の他の財産も保持できるということは、以前のブログで述べていた。
(自由財産の拡張  代表者の生活を確保する
破産後の生活の確保2015年02月21日)

現在の破産実務では、99万円の範囲内なら、裁判所は、現金でなくても、柔軟に対処してくれる。しかし、99万円を超えて自由財産の保持を認めてくれるかというと、これは、かなり厳しい。高度な必要性があっても、99万円の枠を超えた自由財産の保持は、認められることは、まずないと考えたほうがいい。
しかし、全く例がないというわけではなく、東京地裁の場合、以下のような例がある。
(1) 預金148万円のうち120万円の範囲で拡張が認められた。
破産者 60歳後半 靭帯骨化症で手術の可能性もある。
毎月20万円の収入があるが、手持ち現金はほとんどない。
借金の原因が保証。
2年以内に転居が必要になる。
[評釈]
このケースでは、破産申立て前に預金20万円を残したまま、残りを全部払い戻しを受ければ、あえて自由採算の拡張を申し立てなくても、現金99万円と預金20万円の自由財産を保持できた。担当弁護士が初歩的な知識を欠いていたのではないか。

(2) 生命保険解約返戻し金205万円について、全額拡張を認めたケース。
破産者  60歳前半 
収入は夫婦で29万円だが、アルバイトで不安定。
発作性心房細動の症状があり通院中。将来発作を起こす可能性があり、入院特約付きの生命保険を維持する必要性が高い。
手持ち現金がない。
生保を換価しても、異時廃止
[評釈]
手持ち現金がほとんどなく、収入は不安定。命に係わる持病があり、生命保険の維持の必要性が高いという点が重視されたものと思われる。

(3)現金3600万円のうち、500万円の範囲で拡張が認められた。
破産者 70歳代前半
脳腫瘍及び悪性リンパ腫で要介護2
介護してきた配偶者も要支援2となり、これ以上の介護は無理。胃瘻による栄養補給という医療行為ができる介護専門施設に入所する必要性があり、その際の入居金として500万円程度が必要なこと
現金3600万円の資金源は、要介護5の認定を受けたことによる生保の生前給付。
[評釈]
介護専門施設に入居する必要性が高いことから入居金の限度で自由財産の拡張を認めた。資金源や手持ち現金がないことを考えると、入居金以外の現金を認めないという点に、裁判所の厳しい態度が推察される。

以上3点のうち、(1)は、担当弁護士のミスであり、自由財産の拡張を認めたとは言い難い。(3)は、これを認めなければ破産者は死ねといっているに等しいもので、当然と言えば当然。むしろ、入居金以外の手持ち現金を認めなかった点は、やりすぎではないかと思う。(2)は、人道的な判断だが、これに続くような例はないようである。

以上を見ると、99万円を超えて自由財産の拡張を認める確率は、宝くじにあたるような確立とおもったほうがいい。



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「図解で早わかり 倒産法のしくみ」

森公任 森元みのり 共同監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4054
倒産法のしくみ[森公任]
定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
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さらに、法人破産以外の個人民事再生や個人破産についてもフォローした一冊! 」
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会社破産業務の合理化  一律50万円の弁護士費用を可能にするもの

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法人破産は、突然、やってくる。「明後日、回ってくる手形が落ちない」「来週の買掛金の支払いができない」そういう切羽迫った状況で、法律事務所を訪問する。
ところが、法人破産は、個人破産と比べて、短期間で大量の作業量が要求される。大量の資産・負債目録を作成し、100名を超える債権者一覧表を作成することも珍しくない。銀行の預金との相殺を回避するための的確な受任通知の送付、通知の送達とともに殺到する債権者からの問い合わせ、現場の保全、従業員対策、仕掛中の工事の処理、債権者との交渉を精力的にこなさなければならない。その難度さは、消費者破産の比ではない。

それでも、一定の処理件数があれば、常時、それに対応した体制をととのえていればいい。ところが、個人の消費者破産と異なり、法人破産のマーケットは、かなり小さい。平成25年度の全国の破産申立件数は、8,849件である。全国の地裁のうち約7割が、年間申立件数100件未満であり、東京地裁でさえ2,614件、大阪地裁など757件に過ぎない。函館地裁等小さな地方裁判所では、年間で20件に満たない。常時、受任準備が出来ている事務所は、限られる。

頻繁に来る事件ではない、にもかかわらず突然来る、来た場合は、大量で難度の高い作業が要求される。これが、法人破産事件の特殊性だ。これは、弁護士報酬の高額化をもたらす。

この問題を克服する唯一の解決策は、有能な事務員の育成である。
というのは、法人破産事件の業務は、訴訟と異なり、機械的に行える業務と、専門的知見が要求される業務が混在しているからだ。
たとえば、Xデーの設定と、その日までのスケジュールの作成、裁判所との打ち合わせ、従業員や債権者との交渉等は、弁護士でなければならない。
しかし、事務員に任せられるところは、事務員に任せるべきだ。申立てに関し、債権者一覧表や資産目録等の作成、裁判所との連絡、各種添付資料の収集、作成、大量のコピー、予納預り金口座の管理、原本類の保管、引継ぎ書類作成、現場の保全など、ベテランの事務員に任せたほうがいい。ついでに言えば、有能なコピーマシンも必要になる。

弁護士の中には、こういう作業も、弁護士自身が行うべきだという意見もある。過払い等が中心の債務整理系事務所のような処理方法を批判するあまり、事務員の仕事はお茶くみとコピー以外はないと思い込んでしまっているのだ。
しかし、「お茶くみとコピー」以外は、全て弁護士が行うことになると、大変な労力が必要になり、それは、破産申請弁護士手数料にはねかえってくる。事務員に丸投げする一部の債務整理系事務所のやり方は問題あるとしても、事務員でも問題ない作業は、事務員に任せることで、破産申請手数料の単価を下げることができる。
弊所が、会社の破産と代表者の破産費用合計一律50万円とする単価を設定できるのは、事務員でも構わない箇所は、事務員に任せているからだ。


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協力業者等の取引債権者に対する配慮

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会社を破産させるとき多くの経営者が苦悩するのは、商品を納めてくれていた業者や下請け業者への買掛金などを踏み倒すことだ。
破産申立会社に対する依存度の高い協力企業など、資金繰りがひっ迫することは目に見えている。ましてや、毎月の支払いを手形でし、その支払日が数か月先の時は、その会社は、その数か月分の手形が吹き飛んでしまうことになる。こうなると、その企業は、連鎖倒産のリスクが赤信号になる。
そのため、つい偏波弁済をする誘惑にかられるのだが、偏波弁済をしたら、アウトだ。取引業者にも迷惑をかけることになる。取引業者への配慮は、偏波弁済以外の方法で確保しなければならない。
ただ、その方法は限られている。

1、 仕入れを控える。
破産申立会社代表者としては、破産を選択肢として考えた場合は、その時点から、仕入れはできるだけ控えるべきである。
この時期の仕入れは、取引業者からすれば、詐欺同然に見えるものであり、後日、債権者からクレームがくるのも、たいていは、この時期の仕入れである。

2、金策の時間の確保
破産申立で一番注意を要するのは、Xデーを何時にするかだ。たいていは、売掛金が入金された日時以降で、手形や買掛金の支払い日時以前の日時をXデーにする。しかし、複数の売掛金入金日、複数の手形決済日が設定されているときは、その中で何時をXデーにするかは、それなりの経験とノウハウが必要だ。
このXデーの選択に当たっては、「できるだけ多くの資金を破産管財人に引き継げる日は何時か」を基準に考えることになるが、協力事業者等の債権者への配慮も忘れてはならない。
というのは、破産申立会社への依存度の高い企業ほど、破産申立会社からの入金日にあわせて支払日を設定しているからだ。もし、複数の選択が可能なら、その中で、取引業者の手形の支払い日より、できるだけ前にXデーを選択しなければならない。取引業者の金策等の時間をできるだけ確保するためだ。

3、連鎖倒産防止制度の告知
金策の時間を確保したのちは、金策の告知をすることになる。
これについては、以前のブログ「受任通知の債権者への配慮  連鎖倒産防止への配慮」Category:債権者との対応 Date:2015年02月15で以下のように述べている。
「うちの事務所では、受任通知書に簡単だが、債権者に謝罪するとともに、経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)の利用について協力する旨を説明をし、あわせて他の連鎖倒産防止制度について触れるようにしている。」
また、これとは別に各地方自体には、それぞれ独自の連鎖倒産防止融資制度があることが多い。

倒産のノウハウ本には、従業員の給料確保は触れているが、会社破産で一番考慮すべきは、連鎖倒産の防止だ。
しかし、だからといって、偏波弁済をしてはならない。偏波弁済等違法な行為は、取引先に紛争に巻き込み、かえって迷惑かけることになる。




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破産会社代表者の破産申立て前の〇と×  その1

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破産申立を決意した代表者の義務は、二つの側面から規定されます。

一つは、破産法が規定している義務です。偏波弁済の禁止や、財産減少行為などが、これにあたります。実定法上の義務と言えます。
もう一つは,財産散逸防止義務や換価行為禁止義務で、これは、破産法に明文がなく、信義則上の義務です。判例法の義務とも言えます。

[信義則上の義務]
信義則上の義務は、このブログでも、繰り返し述べています。
会社経営者は、破産を決意した時点から、
① 会社財産の散逸を防ぎ(財産散逸防止義務)、
② 資産を売ってはならない(換価行為禁止)というもので、
破産申立代理人も、同様の義務を負います。この義務に違反した場合は、会社代表者や破産申立代理人は、損害賠償責任を負い、管財人から財産散逸防止義務違反や換価行為禁止違反を理由として、賠償請求されることになります。
ただ、この義務は、法律には明記されておらず、判例で形成されたものです。
この義務の発生時期は、会社経営者が破産を決意したときです。

[実定法上の義務]
法律は、偏波弁済の禁止や、財産減少行為などが禁止しています。大きく分けて、二つです。
① 特定の債権者だけを優遇する行為の禁止と
② 会社財産の減少を禁止
する行為です。
破産法は、これらの行為を、支払い停止前と支払い停止後にわけて規制しています。
なお、支払い停止とは、弁済期の来ている債務が弁済できない状態を言い、弁済期の来ていない債務の支払予定がたたないのは、支払い停止とはいいません。
〈支払い停止後〉
すでに支払いが停止した以上、債務者は、債権者に配当されるべき責任財産を確保しておくべきであると考えられています。
したがって、
弁済期到来の有無を問わず、特定の債権者に対する弁済は否認されます。
担保設定の義務の有無を問わず、特定の債権者に対する担保設定も否認されます。
③ その他、債務者の財産を減少させる一切の行為、取引の相手方の債務を消滅させる一切の行為も、詐害の意思の有無を問わず、否認されます。
④ あわてて対抗要件を具備する行為も、権利設定・移転日から15日経過後は、否認されます。
いずれも受益者が事実を知っていることが必要です。
ただし、立証責任は、異なります。
①②の「義務がある場合の偏波行為」③の「対抗要件具備行為」だけは、管財人の方で、受益者を知っていたと証明する必要があります。それ以外は、受益者のほうで「自分は知らなかった」ということを証明しなければなりません。
〈支払い停止前〉
これに対し、支払い停止前は、厳しい規制はありません。
① 特定の債権者に対する弁済や担保設定は、「弁済期がきていないのに弁済した」り、「担保設定の義務がないのに担保を設定する」場合のみ、否認の対象になります。しかも、対象になるのは、支払い停止後30日前までです。また、受益者が知らなかったということを証明すれば否認されません。
② 弁済や担保提供以外の財産減少行為は、債権者が害されることを認識していた場合のみ、否認の対象になります。
なお、不動産を処分し、隠匿しやすい金銭等に変える等「隠匿等のおそれを現に生じさせる」行為は、支払い停止の前後を問わず、全て否認されます(同時交換的財産処分行為
また、法人内部者・近親者への行為は悪意が推定されます。

[偏波弁済に対する制裁]

偏波弁済等は、破産法的には、際めて悪質な行為とされ、厳しい制裁受けます。
1、役員が損害賠償を請求される。
偏波弁済で会社財産が散逸すれば、会社代表者や役員の損害賠償請求査定の対象になります。こうなると免責どころではありません。
2、免責が不許可になる。
個人の場合は、免責不許可事由に該当し、免責が許可されないリスクが高くなります。
3、犯罪になる。
特定の債権者に弁済するというレベルを超えて隠匿・毀棄に比肩し得る程度に債権者全体に絶対的な不利益を及ぼし得るほどの処分行為は、犯罪で詐欺産罪となり、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科します(破産法266条)。
4、否認される。
支払い停止後に偏波弁済等があると、管財人が、その行為を否認します。取引の相手方は、せっかく受領した弁済金を返済することになります。

「破産会社代表者の破産申立て前の〇と×  その2」へ続く。

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破産会社代表者の破産申立て前の〇と×  その2

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「破産会社代表者の破産申立て前の〇と×  その1」から、お読みください。
[疑問点]
ここで一つ疑問が生じます。
判例法上の義務は、支払い停止の前後を問わず、破産を決意した時点から、会社代表者は、財産散逸防止義務、換価行為禁止義務を負います。つまり、支払い停止前でも、これらの義務違反行為は、管財人から代表者や代理人弁護士に対する賠償責任追及訴訟の対象になります。
ところが、破産法上の義務は、支払い停止前は、破産を決意していても、限定された行為のみが否認の対象になり、あとは否認されることはありません。

そうすると、会社代表者が「破産を決意しても、支払い停止前の財産散逸防止義務行為、換価行為禁止義務行為は、賠償責任の対象になっても、免責不許可事由や否認の対象にはならない行為がある」ことになります。
この時間のずれが奇妙な結論を生じさせます。
以下の例で考えてみます。
   記
「会社代表者Aは、4月15日に、資金繰り表を見て、「4月末の支払いは何とか払えるが、5月日に来る支払いは、払えない、これは破産しかない」と決断した。
この時点で、代表者Aが、会社の預金で債権者のうち、親しい取引先や親類などに弁済した。」

まず、破産を決意した時点から、会社代表者や相談を受けた弁護士には、財産散逸防止義務や換価行為禁止義務が課せられます。したがって、この時点以降の財産処分行為は、損害賠償の対象になり、役員や代理人弁護士が訴えられることになるはずです。

しかし、これは、法の禁止する偏波弁済ではありません。偏波弁済禁止は、支払い停止後30日前までだからです。5月末に支払い停止になっても、4月15日時点では、支払い停止前45日で、偏波弁済は自由です。
そうすると、Aの行為は、財産散逸防止義務・換価行為禁止に違反する行為ですが、法の禁止する偏波弁済ではないということになります。このギャップをどのように解釈すればいいのでしょう?。

もっと言えば、破産法の否認規定さえクリアーすれば、財産を散逸しても換価しても、自由という解釈も成り立つ余地もあります。

いずれにせよ、これでは整合性がとれていません。そのため、最近は、「支払停止」を、広く解し、弁済期が来た債務が、とりあえずは支払えても、将来の債務不履行が高度の蓋然性をもって予想されるときは、「支払停止」と解すべきだとする見解が有力なようです。

この点に関する判例は、いまだありませんが、破産会社代表者は、破産後の再生を考えると、破産を決意した以降は、財産散逸防止義務、換価行為禁止義務を厳格に遵守した方が安全でしょう。
まあ、それ以前に、まともな弁護士なら、破産の相談に来た会社代表者に、「否認にならないから売っちまえ、弁済してしまえ」とは、アドバイスしないでしょうけど。少なくとも、自分は、懲戒処分を受ける可能性あるアドバイスなんかできません。


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