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法人破産・代表者破産の弁護士費用合計は、一律50万円! 森法律事務所は企業の倒産・再生を得意とする法律事務所です。年間取扱企業整理件数は40社以上、国内トップレベルの取り扱い件数です。

139万円の自由財産確保を目的とした直前の現金化は許されるか 

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弊所の特徴
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個人が破産しても、99万円の現金と20万円の預金、20万円の保険金等は、管財人に引き継ぐ必要はなく、自己の自由な財産として、引き続き所持し続けることができます。現金と預金、保険で、ぴっちり自由財産の枠に当てはまっていれば、合計139万円を持ったまま破産できることになります。(東京地裁の基準、大阪や名古屋等では基準が異なります)

しかし、本来的自由財産である現金99万円は、いくらオーバーしても、たとえ1000万円あっても、99万円を自由財産として確保でき、99万円を超える金額、つまり、901万円を管財人に引き継げばいいのですが、本来的自由財産ではない預金や保険は、20万円の枠を1円でも超えたら全額自由財産性が否定されます。(東京地裁扱い)。

そこで、例えば、破産申立予定者AとBが、いずれも、
「①現金所持はほとんどなく、それぞれ②110万円の預金と③解約返戻(ヘンレイ)金29万円の保険を持っている」
ケースを考えてみましょう。

破産申立予定者Aは、このまま、自己破産しましたが、破産者Aは、自由財産の所持は全く認められません。預金も生命保険の解約返戻金も、20万円という枠をオーバーしているからです。

一方、破産申立予定者Bは、破産前日、①まず110万円のうち90万円を引き出して現金化し、次に、②保険の契約者貸付9万円借り受け解約返戻金を20万円にしました。破産宣告日時点では、破産者Bは、①現金99万円、②預金20万円、③解約返戻金が20万円の保険をもっていたことになり、Bは、139万円の自由財産を確保できます。

破産申立前日に資金移動しなかったAは、自由財産はゼロ、資金移動したBは自由財産139万円を確保したことになります

東京地裁はや主要な裁判所は、このような申立直前の現金化による自由財産を認めています。奇妙に思えるかもしれませんが、これは破産法上、理論的に導かれる結論です。

まず破産申立予定者といえども、破産宣告前は、自己の財産を自由に管理処分する権限があります。Bの資金の移動、現金化行為は合法的です。

次に、破産者の財産のうち、破産財団となる財産は、破産宣告時点で決まりますが、宣告時点では、Aは110万円の預金と解約返戻(ヘンレイ)金29万円の保険を持っているのに対し、Bは、現金99万円、預金20万円、解約返戻金が20万円の保険をもっています。Aは自由財産をすべて否定され、Bは139万円の自由財産を認められるのは当然です。

もっとも、破産法は、破産者の偏頗弁済等の行為を否認する権限を管財人に付与していますが、否認権行使の対象となる行為は、偏頗弁済、担保設定・対抗要件具備行為、債務者の財産を減少させる行為に限られています。債務者の資金移動行為は、偏頗弁済、担保設定・対抗要件具備行為に該当しないばかりか、債務者の財産を減少させる行為にも該当しません。
そうすると、債務者の申立直前の資金移動・現金化は、合法的な行為と考えられます。

ただ、一部の裁判所では、Bのような行為、つまり「危機時における現金化」は債権者を害するものであり、自由財産制度の潜脱だとして、それが弁護士費用等有用の途にあてられたものでない限りは、自由財産制度の潜脱あるいは乱用だとして認めない裁判所もあるようです

なお、生命保険の契約者貸付けは、保険会社が与信審査を行うことなく、申し出があれば、貸すことが義務付けられており、最高裁判例によれば、いわゆる金銭消費貸借契約ではなく、解約返戻金の前払いです。破産申立直前に契約者貸付をうけても、その事実を破産申請の際に申告しておけば、問題にはなりません。



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