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法人破産・代表者破産の弁護士費用合計は、一律50万円! 森法律事務所は企業の倒産・再生を得意とする法律事務所です。年間取扱企業整理件数は40社以上、国内トップレベルの取り扱い件数です。

会社代表者の給与(役員報酬vs給与)

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弊所の特徴
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④破産会社代表者の破産後の生活確保に全力
⑤ 従業員の給与確保と取引先への配慮に尽力
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例えば、買掛金の支払いが今月の26日に来る。売掛金の入金は、25日である。その入金では、到底、今月の支払いはできない。
こういう場合、25日に入金されたお金を全て口座から引き出し、26日に破産申立をする。引き出したお金は、まず破産費用と従業員の給与の支払いに充て、残金があれば、管財人に引き継ぐことになる。この際、残金があっても、役員の未払い報酬には充当できない。
この違いは、従業員の給与は財団債権(直近3月分だけ)だが、役員報酬は、売掛金同様、一般債権だからだ。従業員に給与を支払うことは財団債権を弁済することで問題はなく否認されない。しかし、役員に報酬を支払うことは、特定の一部の債権者に支払うことと同じで、偏波弁済として否認されることになる。

役員報酬と給与の違いは、それだけではない。
[給与の場合]
過去の「給与」について、もし未払いがあれば、未払い給与は、財団債権として、破産手続によらず、随時、最優先で支払われる(一部は優先債権になる)。仮に破産財団の財源が不足していても、国から未払い分を立て替えてもらえる。
また、破産宣告後は、雇用保険が通常よりも厚く支払われるから、将来の生活も、ある程度保障されている。
[役員報酬の場合]
これに対し、「役員報酬」は、未払いがあれば、通常の債権と同様に扱われるから、破産手続きで回収できる見込みは、ほとんどない。国の立て替え制度もない。破産宣告後も、生活保障はない。

こと破産手続きに関する限り、役員と従業員で、それこそ天と地ほどの差が出る。しかし、これほどの差が出ながら、現実の区別は容易ではない。というのは、多くの中小企業では、役員と従業員の区別が定かでなく、「偉い従業員が役員」という認識だからだ。
そのため、わが国の中小企業では、従業員=給与、役員=報酬という明確な意識がなく、オーナーも含めて役員全員が雇用保険に加入し、保険料を支払っているということが珍しくない。逆に、実体は労働者なのに、役員として扱い雇用保険を支払っていない場合もある。

この点に関し、東京地裁は「従業員を兼務し、従業員として賃金も得ている場合には、賃金としての性質を有する部分について、給料債権(財団債権または優先的破産債権)となります」としか、述べていない(「破産管財の手引き」 265頁)。

まず役員という名目でも、実際は、「決定権は何もなく、業務内容も従業員と同じ」ときは、その報酬を給与として扱っていいだろう。雇用保険に介入していなくても、実体を話せば、国は、雇用保険を支払ってくれるはずだ。未払い賃金制度も利用できる。

しかし、業務内容という点からも、決定権という点からも、どうみても役員の時は、役員報酬としとして処理せざるをえない。ただ、雇用保険を支払い続けていたときは、雇用保険の受給はできるだろう。

では、「決定権はあるが、業務内容は労働者と同じ」という場合は、どうだろう?実は、ほとんどの中小企業の代表者は、これに該当する。自分と妻で美容院を経営している。若いパートが週3回くるが、あとは、二人できりもりしている。会社代表者といっても、実体は、労働の対価として「役員報酬」をとっているにすぎない。
こういう場合でも最終的な損益を負担する立場にある以上、これを賃金と扱うことはできない。ただ、預金等から破産費用を差し引いても、かなり多額の引継ぎ予納金がある、個人の自由財産はほとんどない、こういう場合、一か月分の生活費として金33万円を取得したら、否認されるだろうか?
これについては、複数の案件で、破産申立代理人として、複数の破産管財人と交渉したことがあるが、「問題ない」と気にしない管財人と、「財団債権だから無理」と割り切る管財人がいた。ただ、どの管財人も、最終的には、認めてもらうことができた。

ただし、
①これは、かなり潤沢な引継ぎ予納金がある場合で、ぎりぎり20万円の予納金しか用意できないという場合は、生活費を差し引くことは認められないし、問題にならない。相当性がないからである。
②個人資産があり、個人破産である程度の自由財産が認められる場合も、問題にならない。必要性がないからである。
③また高額な弁護士報酬を取得している場合も、問題外である。例えば、現預金が153万円あり、100万円程度の弁護士報酬を取得し、予納金は20万円。残金33万円は、代表者の生活資金として認めてくれと言っても、これは認められない。

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