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法人破産・代表者破産の弁護士費用合計は、一律50万円! 森法律事務所は企業の倒産・再生を得意とする法律事務所です。年間取扱企業整理件数は40社以上、国内トップレベルの取り扱い件数です。

弁護士の介入通知で世界が180度変わる。(最判平成24年10月19日判決について)

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弊所の特徴
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[受任通知の意味]

弁護士は、破産事件を受任すると債権者に通知します。多くの弁護士は、「対債権者の窓口となり、直接請求を停止させるための通知」という程度の認識しかもっていませんが、実は、会社破産の世界では、この「受任通知」を境として、会社代表者の権利義務関係が180度変わります。
というのは、弁護士の受任通知の意味は、「支払停止」の一態様と認識されているからです。「支払いができなくなったから、弁護士が代理人になり、破産や再生、債務整理の手続きをとる」という意思表示は、その前提に、「だから、今後は支払わない」という意思も含まれていると考えられます。

[支払停止の法的効果]
支払い停止そのものは破産原因ではありませんが、支払い停止は支払い不能と推定されますから、「支払停止」=「支払不能」=「破産原因」と考えられます。
ただ、改正破産法は、この「支払停止」を基準点として、新たな法律関係が形成されることになっています。
① 第一に、[債権者に対する制限]が発生します。破産事件では、債権者は弁護士による受任通知を受けて,支払停止の事実を認識したとき以降に取得した債権・債務による相殺は制限されるのです。
② 第二に、[破産予定者に、厳しい規律]が課せられることになります。支払い停止後の無償取引行為や対抗要件具行為は、偏波弁済として管財人から否認され、会社代表者も、厳しい責任追及を受けるリスクが高くなります。

[銀行は預金と貸付金を相殺できなくなる]
特に重要なのは「支払停止事実認識後の相殺制限」です。
受任通知が届いたら、債権者である銀行は、受任通知後に、破産会社や破産会社代表者名義の口座に入金があっても、相殺できなくなります。この受任通知が、支払い停止とみなされるからです。その結果、
① 破産しても、個人名義の預金については、破産者は、通知後に入金された預金を自由財産として保持できる可能性がでてきます。
② 法人名義の預金については、通知後に入金された預金をきちんと破産管財人に引き継ぐことができるようになり、その預金は、取引先等への返済に回すことが出来ます。それは、従業員や協力業者に対しての配当にも回されることになります。破産手続は円滑に進行し、関係者の反発を和らげ、破産宣告後の対人関係も円滑になります。
こういう意味で、弁護士の受任通知は、単に「弁護士が窓口になるという連絡」以上に、非常に重要な法的効果をもたらすのです。
したがって、受任通知には、はっきりと支払い停止を意思表示しておく必要があります。

[最判平成24年10月19日判決について]
しかし弁護士には、この点の認識がなく、単に受任したという通知を出す弁護士が、結構、います。これが、問題になったのが、最判平成24年10月19日のケースです。

これは、企業倒産の案件ではなく、我々の業界用語でいう、いわゆるクレサラ事件です。サラリーマンが消費者金融から、おカネを借り過ぎたという事案で、この代理人は、次のような通知を出しました。
「当職らは、この度、後記債務者から依頼を受け、同人の債務整理の任に当たることになりました。」、「今後、債務者や家族、保証人への連絡や取立行為は中止願います。」
そして、この通知を弁護士に出してもらった後も、この債務者は、破産の決定が出るまでの間に,一部の債権者に,借金の弁済をしていました。

破産宣告後、破産管財人が、この弁済を「支払停止後の弁済である」として、否認権を行使し、債権者に、弁済金を破産財団に戻すよう訴訟提起しました。
これに対し、債権者は「通知書には、どこにも支払い不能と書いてないじゃないか」と反論したものです。

原審は,「自己破産する」との記載がないから支払停止に該当しないと判示したのに対し、最高裁は最判平成24年10月19日で
「自己破産を予定している旨が明示されていなくても、支払能力を欠くために一般的かつ継続的に債務の支払をすることができないことが、少なくとも黙示的に外部に表示されている」
として、本件受任通知は、支払い停止に該当すると判断しました。
そして、弁済受領者に弁済金を管財人に返金するよう判決しました。

この代理人が、なぜ、このような訳のわからない通知書を作成したかというと、消費者金融問題を熱心に追及している弁護士グループが出版したメジャーなノウハウ本に、「破産するとか民事再生する予定だ、などと余計なこと書くな、ただ受任通知と取引履歴の開示を求めよ」と記載してあるからです。この担当弁護士は、そのノウハウ本通りに受任通知書を送ったわけです。
これは、弁護士の出す介入通知を、ただ単に「消費者金融からの請求を停止させる」という意味としてのみ認識していたからで、この判決後、この本は、判決にあわせて、改訂版をだしています。ただし、改定したのは書式で、本文では、相変らず、「破産すると債権者に通告すると差押されるリスクがあるから、介入通知だけ記載したほうがいい。今後の予定は書くな」と書いてあります。ここいらあたりは、そう簡単には、裁判所の意見には従わないぞということでしょうか。

しかし、そうなると、通知を受けた債権者は、今後支払うのか不明なまま、じっと通知任弁護士からの次の連絡をまっているしかありません。それが、場合によったら1年くらい続きます。いくら何でも、これはやり過ぎなのではないと疑問を持つ方もおられるでしょう。
クレサラ被害追求関係団体が出版する書籍は、一般に、「消費者金融は悪であり、その悪を叩き潰す」という信念で書かれていることが多く、我々弁護士も、この点を踏まえて、自分のポジションとの対比で、参考にしたほうがよさそうです。


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