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法人破産・代表者破産の弁護士費用合計は、一律50万円! 森法律事務所は企業の倒産・再生を得意とする法律事務所です。年間取扱企業整理件数は40社以上、国内トップレベルの取り扱い件数です。

破産申立代理人の責任範囲

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弊所の特徴
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最近、何かと破産管財人や破産債権者が破産申立代理人を狙い打ちするケースが増えているように思う。破産債権者や破産管財人にとって、弁護士である破産申立代理人は、回収が確実な、格好の標的だからだ。

この典型例が東京地裁平成27年10月15日判決のケースだ。
1、平成25年1月1日、 弁護士Aは、会社Bから、資金繰りの悪化に伴い相談を受け、偏波弁済の禁止を説明するとともに、代表者Cに相続した不動産を換価しないよう指示した。
2、同年2月1日、弁護士Aは、会社B・代表者Cと委任契約を締結し、債権者に介入通知を出した。
3、その後、3月1日、債権者Dが債権者一覧表から漏れていることが発覚したので、Dに介入通知を出した。Dからの問い合わせにたいし、破産申立は5月1日ころになる、不動産は管財人に引き継ぐ、と説明した。
4、4月1日、Cは、勝手に不動産を売却し、その売却代金を費消し、または隠匿した。
5、5月1日、弁護士Aは、債権者Dからの問い合わせに、弁護士費用の支払いが遅れており、辞任する意向だと伝えた。
6、5月2日、債権者Dは、本件不動産がすでに売却されていると伝えた。
7、弁護士Aは、会社B・代表者Cに事実関係を確認すると、「売却したが、司法書士に売却代金を保管してもらっていると伝えた。弁護士Aは、辞任した。
8、これに対し、債権者Dは、弁護士Aの言葉を信用し強制執行を控えていたのであり、不動産を差し押さえる機会を失ったとして、弁護士Aに賠償請求した。

この弁護士Aの問題点は、介入通知が早すぎたという点だ。資金繰りに追い詰められた経営者の中には、弁護士を利用して財産隠しをしようという輩がいる。先に介入通知を出させておいて、その間に財産隠しをするのだ。会社破産の場合は、受任通知は、ぎりぎりまで出すべきではない。
おそらく、この弁護士Aは、あまり会社破産の経験がなかったのではないか?
経緯を見ていると、受任通知をまず出して、弁護士費用が払われないので辞任するという消費者破産のパターンで処理している。法人破産の経験が豊富な弁護士なら、ありえない話である。ただ、多くの弁護士が、消費者破産と会社破産の質的な違いを認識できないでいる。この違いを認識しな弁護士は、安易に会社破産に手をだすべきではない。

それはさておいても、だからといって、これで申立代理人が責任を負うなど、とんでもない話である。この債権者Dやその代理人が主張する理由は、以下のとおりである。
1、 換価行為防止義務違反
2、 売却代金管理義務義務違反
3、 破産手続開始遂行義務違反
つまり、破産者の換価行為を禁止しろ、仮に換価したら売却代金を管理しろ、どんあことがあっても、通知を出したら必ず破産しろ、という義務である。

破産申立代理人が依頼者に対して受任者としての法的義務があることは確かだが、債権者に対しても法定義務があるとする裁判所の見解は、理論的に説明不可能である。
破産制度の目的とか弁護士法の公正義務から、道義的に破産申立代理人に財産散逸防止義務が認められるとしても、破産制度の目的とか弁護士法の公正義務自体は抽象的な義務で、債権者に対して法律上の義務を負担するほどの具体的な義務ではない。
しかし、裁判所は、理屈抜きで弁護士の抽象的義務から破産申立代理人に賠償責任が発生する具体的な法律上の義務が導かれるとしている。しかも、今までは総債権者(管財人)に対する賠償責任としていたのが、この判決では、個別の債権者に対する賠償責任も理論的には認めている。
最終的には、財産換価防止義務違反も、売却代金管理義務違反、破産手続開始遂行義務違反も認めなかったが、当然と言えば当然である。破産申立代理人には、依頼者の財産換価を阻止する権限はないし、売却代金を強制的に管理する権限もない。ましてや、受任通知をだしたら絶対に辞任できないなど、ありえない話である。

ただ、裁判所が法的根拠もなく、破産申立代理人に、管財人や債権者に法的義務を負わせていることから、最近は、何か不都合な点があると、管財人が破産申立代理人に強引に賠償責任を負わせようとする傾向がある。
弊所の経験でも、破産宣告後、代表者個人が自動車の所在を隠したときに、責任は申立代理人にあると主張する管財人とか、破産者が財産を隠していた時に、それを容易に発見できなかった管財人が、財産隠しを防止できなかったのは破産申立代理人の責任だと主張する管財人に遭遇している。

しかし、破産宣告後、破産者の財産は管財人の支配下にはいり、その散逸防止は、破産管財人の責任である。破産宣告後、車の所在がわからくなったら、それは管財人の責任ではないのか?また破産者の隠し財産の発見は、そもそも管財人の重要な業務である。これも発見できなかった責任は管財人であり、申立代理人が責任を負う根拠はない。
これらの管財人の見解は、裁判所から支持されなかったが、一部の管財人が、自分の不手際を申立代理人に押し付け、破産申立代理人に責任を転嫁させ、賠償させることで破産財団の増加を目論む行為が少なくない。


(注)
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