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法人破産・代表者破産の弁護士費用合計は、一律50万円! 森法律事務所は企業の倒産・再生を得意とする法律事務所です。年間取扱企業整理件数は40社以上、国内トップレベルの取り扱い件数です。

弁護士の財産散逸防止義務は相談段階でも。

森法律事務所は、年間40社以上の企業の清算・再生を扱う、企業の整理再生に関しては、国内有数の法律事務所です。いつでも、お電話・メールをください。
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03-3553-5955
弊所の特徴
① 法人破産代表者破産の弁護士費用合計一律50万円
②会社破産(個人破産は含まない)年間申立て件数40以上。国内トップレベル。
③ 35年の豊富な実績と弁護士16名のマンパワー
④破産会社代表者の破産後の生活確保に全力
⑤ 従業員の給与確保と取引先への配慮に尽力
電話の際は、必ず破産の相談ですと告げてください。専門部にまわします


判例時報2177号で紹介された事例です(東京地裁平成25年2月6日)。

(事案の概要)
① 平成18年3月設立でブランド洋服の店舗や通信販売を全国的に手掛けていた会社である。
代表者は、代表者は六本木ヒルズに月額120万円のマンションを借りて住んでいたり,フェラーリをリースで乗っているという生活を送っていた人物。
勝敗は時の運といいますが、この人物に関しては、必ずしも、当てはまらないかもしれません。
② 負債3億円で平成23年8月22日に事業停止
③ 平成23年8月25日に弁護士との相談
④ 平成23年8月30日に正式依頼を受け着手金を受領
⑤ 平成23年8月31日に債権者に受任通知
⑥ 平成23年8月24日から11月4日にかけて破産会社に対して入金があった698万円(営業保証金の返金など)のうち約515万円を代表者個人の口座に入金したうえ費消した。
⑦ 平成23年11月18日破産の申立

裁判所は、破産申立代理人の依頼者に対する説明として以下の事実を認定しました。
1、 偏波弁済の禁止を告知した。
2、 現金を弁護士側で管理することや委任契約後に弁護士の口座に破産会社の預貯金,現金を入金することの説明はしていない。資金の明細を明らかにしておくように指示しただけ。
3、 (代表者からの「自分の給料は受け取っていいのか」との質問に対して)「あなたにも生活があるだろうから」と説明し、役員報酬を原則として受け取ることができないという説明はしていない。

その上で、裁判所は、次のように判断し,破産申立代理人弁護士に、破産会社代表者が費消した515万円全額の賠償責任を認めています。
ています。
2  (1)債務者との間で同人の破産申立てに関する委任契約を締結した弁護士は,破産制度の趣旨に照らし,債務者の財産が破産管財人に引き継がれるまでの間,その財産が散逸することのないよう,必要な措置を採るべき法的義務(財産散逸防止義務)を負う。
正式な委任契約締結前であっても,依頼者と弁護士の関係は特殊な信頼関係に立つものであるから,委任契約締結後に弁護士としての職責を全うし,正当な職務遂行をなすため,依頼者の相談内容等に応じた善管注意義務を負う。

(2)本件では,平成23年8月25日時点で、破産会社には一定の資産が存在する事実が確認できたのであるから,被告としては,上記善管注意義務として,委任契約後の破産会社の資産管理は原則として被告が行うこと等の説明を行い,また,委任契約後には財産散逸防止義務として,上記説明に加え,破産会社の預貯金通帳等を被告において預かること,あるいは,被告の開設にかかる破産会社の財産管理用の預り金口座に預貯金,現金等の入金を行うこと等の具体的な指示説明を行う必要があった。

(3)被告は,同日,破産会社の代表取締役から,同人の給与の受領の可否について問われているところ,取締役の役員報酬請求権は一般の破産債権であって原則として役員報酬の受領が認められないこととなるのであるから,上記善管注意義務としてその旨の説明を行い,また,委任契約後には財産散逸防止義務として,上記説明に加え,破産会社の破産申立てまでの間に代表者が行った具体的労務の内容を把握し,労働債権性を有する部分の判定,労働債権性を有する部分の支払の可否等の判断を適切に行い,必要かつ妥当な範囲での支払を行う等の対応をとる必要があった。

(4) したがって,被告には財産散逸防止義務違反が認められる。

この判決の特徴は、
1、 正式な委任契約締結前でも、弁護士は、財産散逸防止義務を負うこと
2、 生活のための支出については、破産申立代理人が、労働債権性を有する金額を適切に判断すべきだ
という点です。
本件での破産申立の弁護士費用は約47万円ということであり,会社と代表者の破産のための弁護士費用としては決して高額とはいえません。それでも、この責任ですから、弁護士としては、危うい代表者の破産事件の依頼は受けられないということになります。
1については、場合によっては相談だけでも責任が発生することになるから、相談もうかうか応じられないということになるし、2については、そもそも、弁護士にそんな判断を期待するのは無理ではないでしょうか?

ただ、この事件は、実際の業務は、弁護士とは別の事務所の司法書士が行っており、弁護士の関与は限定的なものだったようです。
弊職に、某NPO法人から、破産申立代理人になれない司法書士が連携する弁護士を探しているとのFAXが届きました。つまり、名義を貸してくれということです。破産に関しては、現在、全国の主要な裁判所は、事実上の弁護士強制主義をとっており、こと破産に関しては、書類作成しかできない司法書士は、事実上、閉め出されているからです。
これと同じケースとは思いませんが、この弁護士と司法書士は、どういう関係だったのでしょうか?

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