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法人破産・代表者破産の弁護士費用合計は、一律50万円! 森法律事務所は企業の倒産・再生を得意とする法律事務所です。年間取扱企業整理件数は40社以上、国内トップレベルの取り扱い件数です。

旅館の倒産 コロナ倒産その5

森法律事務所は、年間40社以上の企業の清算・再生を扱う、企業の整理再生に関しては、国内有数の法律事務所です。いつでも、お電話・メールをください。
http://www.hasan-net.com/
03-3553-5955
弊所の特徴
① 法人破産代表者破産の弁護士費用合計一律50万円
②会社破産(個人破産は含まない)年間申立て件数40社以上。国内トップレベル。
③ 35年の豊富な実績と弁護士17名のマンパワー
④破産会社代表者の破産後の生活確保に全力
⑤ 従業員の給与確保と取引先への配慮に尽力
電話の際は、必ず破産の相談ですと告げてください。専門部にまわします.

帝国データバンクによると、「新型コロナウイルス関連倒産」は、全国に273件判明(6月19日16時現在)法的整理185件(破産163件、民事再生法22件)、事業停止88件で、業種別上位は「飲食店」(43件)、「ホテル・旅館」(41件)、「アパレル・雑貨小売店」(20件)、「食品製造」(17件)、「食品卸」(16件)など だそうです。
https://www.tdb.co.jp/tosan/covid19/index.html
飲食店が旅館業を追い越し、トップに立ちましたね。まあ、飲食店の方が絶対数が多いから、これかからは、飲食店の倒産件数がどんどん増えていくでしょう。

今日は、その旅館業の破産のお話です。
この旅館関連倒産の特徴は、地域性です。東京地裁管轄事件ではそんなに件数が多くはないのですが、例えば、箱根を管轄とする小田原支部、熱海を管轄とする沼津支部なんか、もともと一定件数があり、おそらく、今は増加する傾向にあるのではないでしょうか。
ただ破産ではなく民事再生となると、支部レベルでは対応できず、東京地裁に申し立てる場合もあるでしょう。


最大の問題は、予納金の確保です。
旅館業では、建物の処分に困ります。破産したら所有不動産は売却し財団に組み入れますが、旅館はこれが難しい。営業をやめた旅館の建物を買い取ろうとする人は、まずいません。建物を壊して土地だけ売ろうとしても、解体費用が土地代を上回るというのも珍しくない。熱海や箱根といった場所なら、まだ、買い手が現れるでしょうが、地方の温泉街となると、土地自体がそもそも売れない。
原状回復費用を工面できないとなると裁判所は、破産は受けつけないでしょう。結局、破産もできず、旅館は放置され廃墟になり、代表者は雲隠れということになります。
旅館の破産申請で最大の問題点は、この原状回復費用の工面です。この費用が工面できず、したがって破産もできず、放置状態になることがあります。

ただ、今までちゃんと経営していたが、コロナウイルスのために資金ショートしたという場合、買取希望者は現れるはずです。その場合は、民事再生で行くのか、破産するのか、弁護士とよく検討しましょう。前者の場合は、代表者主導で売却をすすめることになり、後者の場合は、管財人が売却を主導します。

予納金問題をクリアしても、もう一つ問題があります。消費者問題の発生防止です。
旅館業というのは、一般のお客様を対象とし、そのお客様にとっては、相応の資金を投入しています。仮に一人一泊3万円とし、4人家族だと12万円になります。それにいろいろな税金とかサービス料が追加されて、最終的には、結構な金額になります。
個人的な予約の場合は、宿泊当日に支払いますが、旅行会社を通じての申込となると、事前に旅行会社に支払っています。ところが破産すると、お客様が事前に旅行会社を通じて支払ったお金は、一般破産債権として処理されてしまいます。事実上、戻ってきません。それも、大きな旅館となると、相当な数の被害者が出ることが予想されます。
消費者問題をさけようとして、お客様に返金すると、今度は、偏波弁済として否認対象になるし、それを知りながら放置すると、我々申立代理人が管財人から賠償責任を追及されます。この点は、事前に裁判所と打ち合わせをした方がいいと思います。

個人的に予約した人も、旅館代は被害に遭わなかったとしても、家族4人で張り切って旅行に出かけ、宿にたどり着いたら閉鎖されていたということもありえます。今から家に帰るには遅すぎる、しかし、他の宿屋は満杯だとなると、家族にとって悲惨な思い出になってしまいます。

ですから、破産を決意したら、消費者問題にならないよう、もう予約は受けつけるべきではありません。
しかし、従業員にどう説明するか?破産するから予約は受けつるな、などど、いくら口止めしても、最近の若い人は、SNSに「俺んとこの旅館つぶれるみたい」なんて書きこんだりします。そうなると、それを見た税務署は、すぐに差押に入るだろうし、大口債権者は商品引き上げにかかるし、銀行は、預金と相殺してしまい、破産が事実上できなくなります。
それをかんがえると、従業員にはぎりぎりまで破産を隠しておく必要があります。
じゃあ、どうやって予約を断るか?難しいですね。
しかし、この問題を解決しないと、破産申請自体が消費者問題を引き起こし、大騒ぎになるリスクもあります。

このように旅館業は、一方で莫大な予納金、他方で消費者問題という問題点を解決しなければ、破産申立ができません。

(追記 本年秋頃には、二冊目の倒産法の本を出版する予定です。特に民事再生と破産に重点を置いています)

(注)
おかげさまで、このブログは、平日は一日で100人前後の訪問者がいます。総アクセス数は、一日で150件前後です。ただ、このブログは、主に専門家が実務の参考にすることを前提としたレベルで記載しています。会社破産の制度一般について知りたい方は、弊所代表弁護士森公任・副代表弁護士森元みのりの倒産法の全て」148~189頁で、一般の方向けに簡潔かつ簡易に記載してあります。初歩的で全体的な情報が必要な方は、下記の本を是非 ご購読ください(あまたある倒産法の中で異例のベストセラーロングセラーになっています)
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