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法人破産・代表者破産の弁護士費用合計は、一律50万円! 森法律事務所は企業の倒産・再生を得意とする法律事務所です。年間取扱企業整理件数は40社以上、国内トップレベルの取り扱い件数です。

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賃料の寄託(破産法70条)

森法律事務所は、年間40社以上の企業の清算・再生を扱う、企業の整理再生に関しては、国内有数の法律事務所です。いつでも、お電話・メールをください。
http://www.hasan-net.com/
03-3553-5955
弊所の特徴
① 法人破産代表者破産の弁護士費用合計一律50万円
②会社破産(個人破産は含まない)年間申立て件数40社以上。国内トップレベル。
③ 35年の豊富な実績と弁護士16名のマンパワー
④破産会社代表者の破産後の生活確保に全力
⑤ 従業員の給与確保と取引先への配慮に尽力
電話の際は、必ず破産の相談ですと告げてください。専門部にまわします.

[事例]
不動産投資家Aは、
平成20年1月1日、B銀行から融資をうけて土地を購入し賃貸マンションを建築した。
平成21年1月1日、Cは、Aから建物の一室を借り受け敷金2か月分として20万円をAに預けた。
平成22年1月1日、Aは、支払い停止になり、破産宣告を受けた。破産管財人はD弁護士が就任した。

[参照条文]
破産法第56条
第1項 第53条第1項及び第2項の規定(双方未履行の双務契約の解除)は,賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を設定する契約について破産者の相手方が当該権利につき登記,登録その他の第三者に対抗することができる要件を備えている場合には,適用しない。
第2項 前項に規定する場合には,相手方の有する請求権は,財団債権とする。
破産法第70条  停止条件付債権又は将来の請求権を有する者は、破産者に対する債務を弁済する場合には、後に相殺をするため、その債権額の限度において弁済額の寄託を請求することができる。敷金の返還請求権を有する者が破産者に対する賃料債務を弁済する場合も、同様とする。


[賃借人Cの立場]
まず投資家Aが破産しても、賃借人Cは、居住している以上は、自己の賃借権を破産管財人に対抗できます(破産法第56条)。双方未履行の双務契約解除(53条)の特則規定です。
しかし、Cの対抗要件具備は、B銀行の担保設定後ですから、破産に伴いBが抵当権を実行すれば、Cは, 抵当権者及び買受人に対抗することができません。 この場合には,賃借権は売却によってその効力を失い (民事執行法59条2項,188条),  6か月の明渡猶予(民法395条)はあるものの、買受人はこの賃借権を引き継ぎません。
そうなると、賃借人CのAに預託した敷金返還請求権はどうなるでしょう?競売の買受人には賃借権を対抗できませんから、敷金返還請求は管財人に対して行うことになります。しかし、敷居金返還請求権は破産債権ですから、現実には返金は期待できません。つまり、立ち退かなければならないし、しかも、敷金が返還されないことになります。(注 敷金返還請求権は、請求は破産「後」ですが、発生は破産「前」ですから、破産債権になります)

この場合、賃借人Cは、自己の敷金債権を守るために、管財人Dに破産法70条に基づいて
「賃料は払うけど、2か月分の賃料を敷金として差し入れているから、支払う賃料は別口座で預り金処理をしてくれ」
と要求することになります。
寄託請求を受けた破産管財人は,当該賃料の支払いを受けて寄託します。東京地裁本庁では,破産財団の保管口座とは別口の預金口座に預金して保管する運用となっています。
「寄託」ですから、管財人は賃料を受領できず、別口座で預かっただけになります。つまり、Cは、「賃料は支払う」と言いながら、実は「預けただけ」で支払ってはいないことになります。
こうしておけば、賃借人Cが、賃貸借契約終了後、明渡を完了した時点で、つまり、敷金返還請求権を現実に行使できるようになった時点で,賃料相当額が敷金から控除され,その代わりに,賃借人は,財団債権として寄託していた賃料の返還を求めることができることになります。敷金が返還されたと同じような状況になります。
なお、この寄託請求は賃貸借に対抗力がない場合にも使えます。

ただし、破産管財人Dの事務処理の都合から、賃借人Cは、最後配当の除斥期間まで(最後配当に関する公告がなされ,その後2週間が経過した時点)に明渡をする必要があります。この期間を過ぎると破産財団に組み込まれ、配当原資になります。

ただし、この方法は、B銀行が抵当権の物上代位権に基づいて賃料を差し押さえている場合(民法372条,304条)は、通用しません。

[管財人Dの立場]
破産管財人Dは、通常は、B銀行と交渉して任意売却し、その売却代金の数パーセントを財団に組み入れるのが破産実務の「常識」になっています。
弊所の経験から言わせると、今まで、銀行が任意売却に応じなかったケースは1件しかありません。ただし、これは、特殊なケースで、ほとんどの場合、当たり前のごとく任意売却が行われ、当たり前のごとく数パーセントが財団に組み込まれます。
任意売却の場合、敷金返還債務は買受人に承継されますので、賃借人Cの破産管財人に対する敷金返還請求権は消滅し、寄託した賃料は、財団に組み込まれることになります。

なお、任意売却の場合、敷金分だけ売買価格から差し引くのが取引実務であることから、財団がその分減少して債権者平等の原則に違反するとして、敷金の承継を認めない見解もあるようです。
財団債権の拡充しか念頭にない、がちがちの倒産村的思考ですが、こういう極端に偏った考えは、実務では取られておりません。まあ、こんなことを認めたら、マンション買受人と賃借人のトラブルになるから、逆に買受人が現れにくくなります。不動産実務の常識からは、ありえない見解です。

(注)
おかげさまで、このブログは、平日は一日で100人前後の訪問者がいます。総アクセス数は、一日で150件前後です。ただ、このブログは、主に専門家が実務の参考にすることを前提としたレベルで記載しています。会社破産の制度一般について知りたい方は、弊所代表弁護士森公任・副代表弁護士森元みのりの倒産法の全て」148~189頁で、一般の方向けに簡潔かつ簡易に記載してあります。初歩的で全体的な情報が必要な方は、下記の本を是非 ご購読ください
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