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法人破産・代表者破産の弁護士費用合計は、一律50万円! 森法律事務所は企業の倒産・再生を得意とする法律事務所です。年間取扱企業整理件数は40社以上、国内トップレベルの取り扱い件数です。

破産債権者表に記載された債権が非免責債権であるとして執行文を付与してもらう方法

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破産法は、債務者の財産の清算に関する包括的強制執行です。
破産手続においては、配当が見込まれない同時廃止や異時廃止など以外の場合には、債権者から債権届出がなされ、破産管財人、裁判所が債権の存否、内容を調査し、調査結果に基づいて裁判所書記官が債権表を作成します(破産法115条)。
 この債権表には、確定判決と同一の効力があるものとされ(破産法124条3項、221条)、債権者は、債権表に基づいて、破産・免責手続終了後に強制執行をすることができます。つまり、執行力を有することになります。

しかし、破産手続き中は、強制執行手続きはできませんから、いくら「確定判決と同一の効力」といっても、意味はありません。

破産手続が終了すれば、会社の場合は、解散してしまうので、この債務名義そのものが無意味になります。

個人破産の場合は、破産手続が終了すれば強制執行は可能となりますが、免責許可の申立てがあった場合は、強制執行は停止します(法249条1項)し、普通は、免責許可の申立てがありますから、執行力を有しているといっても、停止状態になっています。

免責許可決定が確定したら、その旨が破産債権者表に記載され、破産債権者表の記載により強制執行はできなくなります。(法253条3項)。この破産債権者表の記載により、非免責債権を除く債権については執行力が失われることになります。免責というのは、この執行力を失わせることをいうのであって、債務そのものが消えてなくなるわけではありません。債務は残るが、執行力がない債務になってしまうわけです。)

逆に、免責不許可になった場合は、単に債務について責任を免れなくなるだけでなく、破産債権者表の記載にある確定した破産債権は全て、債務名義のある債権になってしまうことになります。つまり、訴訟で判決をもらう必要はなく、執行力を有し強制執行ができる訳ですね。停止していた執行力が復活してしまうことになります。

そうなると、非免責債権については、免責許可となった場合でも破産債権者表の記載による強制執行の問題が出てきます。

まず免責許可決定が確定している場合であっても、破産債権者表の記載内容等から、ある破産債権が非免責債権であると認められる場合には、裁判所書記官が民事執行法26条の規定により執行文を付与できます

破産債権者表の記載内容等から、ある破産債権が非免責債権であると容易に認められない場合は、どうすればいいでしょう?
これについて、平成26年4月24日最高裁判決が注目すべき判決をだしています。

この判例では、破産者について免責許可決定の確定後、破産者に対して確定した破産債権を有していた債権者が、上記破産債権は法253条1項2号に掲げる請求権(破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権)であると主張して、債権者は、裁判所に執行文付与の申し出をしました。しかし、書記官から、破産債権者表の記載内容等から、「当該破産債権が非免責債権であると容易に認められる場合」ではない、として、執行文付与の訴えを起こしたらどうですか?とアドバイスされたようです。そこで、代理人は、その書記官のアドバイスに基づいて、執行文付与の訴えを起こしました。

執行分の付与申立てをしても、条件の成就が必要な場合や、債務者が死亡して相続人が債務を承継した場合などは(債務名義の承継)、債権者(原告)が文書で裁判所書記官にそうした事実の証明をする必要があります。(民事執行法27条1、2項)。書記官が、「これで証明できている」と判断したら執行文が付与されますが、文書による証明が十分にできない場合、執行文は付与してもらえません。
こういう場合は、債権者は、債務者を被告とする執行文付与の訴えにより、訴訟手続で事実を証明して(この場合文書だけでなく証人尋問等もできることになる。)、判決により執行文を取得することになります(民事執行法33条)。

破産部の書記官は、非免責債権か否かも、これと同じだろうと考えたわけです。破産債権者表の記載内容等から、ある破産債権が非免責債権であると認められない場合は、執行文付与の訴えを起こしたらどうですか?と代理人弁護士にアドバイスしました。そこで、破産者に対し、上記破産債権が記載された破産債権者表について、執行文付与の訴えを提起しました。
 しかし、執行文付与の訴えは、条件成就と債務名義の承継について、文書で証明することができないことを要件としており(民事執行法33条1項)、文言上、債権者の債権が非免責債権となるか否かを確定することは予定されていません。
 
最高裁は、「民事執行法33条1項は、その規定の文言に照らすと、執行文付与の訴えにおける審理の対象を、請求が債権者の証明すべき事実の到来に係る場合におけるその事実の到来の有無又は債務名義に表示された当事者以外の者に対し、若しくはその者のために強制執行をすることの可否に限っており、破産債権者表に記載された確定した破産債権が非免責債権に該当するか否かを審理することを予定していないものと解される(最高裁昭和51年(オ)第1202号同52年11月24日第一小法廷判決・民集31巻6号943頁参照)。
このように解しても、破産事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官は、破産債権者表に免責許可の決定が確定した旨の記載がされている場合であっても、破産債権者表に記載された確定した破産債権がその記載内容等から非免責債権に該当すると認められるときには、民事執行法26条の規定により執行文を付与することができるのであるから、上記破産債権を有する債権者には殊更支障が生ずることはないといえる。
そうすると、免責許可の決定が確定した債務者に対し確定した破産債権を有する債権者が、当該破産債権が非免責債権に該当することを理由として、当該破産債権が記載された破産債権者表について執行文付与の訴えを提起することは許されないと解するのが相当である。」

それでは、書記官から、非免責債権か否か俄かに判断できないとして執行文の付与を拒絶された債権者は、どうすればよいでしょう?
すでに確定判決と同一の効力をもっているから訴えられないとも考えられますが、そうなると、債権者は打つ手がなくなります。執行文付与の申立が拒絶された場合は、訴えの利益があるものとして、訴訟提起ができると解されます。


(注)
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