破産では、代表者は、ある程度の覚悟が必要であるが、そうたいしたことではない 破産者と弁護士の義務 2014年12月16日 森法律事務所は、年間40社以上の企業の清算・再生を扱う、企業の整理再生に関しては、国内有数の法律事務所です。いつでも、お電話・メールをください。http://www.hasan-net.com/03-3553-5955弊所の特徴① 法人破産代表者破産の弁護士費用合計一律50万円②会社破産(個人破産は含まない)年間申立て件数40以上。国内トップレベル。③ 35年の豊富な実績と弁護士16名のマンパワー④破産会社代表者の破産後の生活確保に全力⑤ 従業員の給与確保と取引先への配慮に尽力電話の際は、必ず破産の相談ですと告げてください。専門部にまわします弁護士のホームページなんか見ると、破産は何の心配もない、不利益も何もない、むしろ、「依頼すれば弁護士がすぐに介入通知を出し、債権者や従業員の窓口になってくれるから、依頼した次の日からは、枕を高くして眠れる」、みたいなことが書かれています。もちろん、そんなうまい話があるわけがなく、破産する以上は、相応の不利益は受けます。ただ、その不利益は、みなさんが想像するほどではありません。ただ、この「それほどではない」という点を考え違いしている代表者がおり、破産しても、破産手続も、自分がイニシアティブをとって行うものだと思い込んでいる方が、ときおり、おられます。あるいは、破産しても、管財人に泣き付けば、家とか重要な財産は確保できると思い込んでおられる方もあられます。もちろん、これは、完全な誤解で、破産宣告を受けた以上は、全ての権限は、管財人に移ります。また自由財産は確保できても、それは、最低限の資産にすぎません。換価困難として不動産を財団放棄することは、めったにありません。それ以外にも、破産者には、管財人に対する説明義務(法40条)、重要財産開示義務(法41条)、通信の制限(法81・82)、居住制限(法37・39)があります。こう説明すると、憂鬱になる代表者もおられるかと思いますが、現実には、そうたいしたことではありません。わずかな資産しか確保できなくても、宣告後に働いて得た財産は自分のものになるし、説明義務(法40条)といっても、管財人の質問に正直に答えればよいだけです。重要財産開示義務(法41条)といっても、隠し財産をしなければいいだけです。居住制限(法37・39)も、引越するとか海外旅行をする等、生活の拠点を移す際は、事前に管財人の承諾をもらいなさい(東京地裁扱い)というだけで、生活の拠点を移さないかぎり、移動は自由です。生活の拠点を移す場合も、管財人が承諾しないということはめったにありません。通信の制限(法81・82)も、破産者を受取人とする郵便物を管財人がチェツクするだけの話で、メールや電話、宅急便なんか、何の制限も受けません。自分が郵便物を出すのも自由です。しかも、これらの「制限」は、破産手続が継続する間だけの制限で、普通は、3,4か月、ながくても1年程度で破産手続きは終了します。こう考えると、弁護士のホームページみたいに「依頼した次の日からは、枕を高くして眠れる」とはいえないにせよ、破産で、「債権者からの請求」や「資金繰りの悪夢と恐怖」から解放されることを考えれば、この程度の規制は、たいしたことはないと言えます。破産会社代表者がつらいときがあるとしたら、それは、おそらく債権者集会でしょう。テーブルのむこうになじみの取引先とか未払給与の従業員が座ることがあります。今まで、取引してほしくて低姿勢だった取引先、社長、社長と言って自分を慕っていたはずの従業員が、今は、軽蔑しきった顔で、こちらを見ます。これは、辛いと思います。ただ、その時間は、わずかに数分です。この瞬間だけ耐えれば良いのです。是非 ご購読ください。(大学でテキストとして利用されています。また楽天ブックス・ベストセラーの一冊になっています。)「図解で早わかり 倒産法のしくみ」森公任 森元みのり 共同監修http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4054定価: 1,890円(本体:1,800円+税) 「法的整理から私的整理まで、様々な倒産制度のしくみや実務上のポイントがわかる。また、解散・清算、M&Aの知識まで倒産関連の知識を集約。さらに、法人破産以外の個人民事再生や個人破産についてもフォローした一冊! 」 PR
破産にあたり従業員を解雇すべきか 従業員問題 2014年12月08日 森法律事務所は、年間40社以上の企業の清算・再生を扱う、企業の整理再生に関しては、国内有数の法律事務所です。いつでも、お電話・メールをください。http://www.hasan-net.com/03-3553-5955弊所の特徴① 法人破産代表者破産の弁護士費用合計一律50万円②会社破産(個人破産は含まない)年間申立て件数40以上。国内トップレベル。③ 35年の豊富な実績と弁護士16名のマンパワー④破産会社代表者の破産後の生活確保に全力⑤ 従業員の給与確保と取引先への配慮に尽力電話の際は、必ず破産の相談ですと告げてください。専門部にまわします破産手続で会社の従業員は、微妙な立場になります。未払い給与があるときは、破産会社の債権者ですが、同時に、会社の一員であり、破算手続では、会社の破産手続の協力する義務があるからです。債権を増やしたくないと考えれば解雇になるし、破産手続に協力してほしいと考えれば、破産後も、従業員の雇用を継続することになります。破産宣告前に解雇するか否かは、破産宣告後も、従業員を正社員として雇用を継続する必要があるか否かという観点から決めます。会社の規模が相当程度で、代表者では、何もわからない。経理や営業の責任者がいないと管財業務ができないという場合は、最小限、その人たちの雇用は継続すべきでしょう。いったん、解雇して管財人が臨時雇用するという方法も考えられますが、破産会社は、その人に予告手当と給与を二重に支払うことになりますので、この選択肢は、ありえません。上記のような事情がないとき、会社の破産を決意した代表者は、従業員を解雇するのが原則です。なぜかというと、破産宣告後の給与は財団債権になってしまい、財団を圧迫するからです。東京地裁では、解雇予告手当も財団債権扱いをしています。また破産管財人が解雇すると、従業員が破産管財人に反発し、管財業務に協力しなくなり、破産管財業務が困難になるケースもあります。その解雇日は、破産申立の前日か当日です。早期に解雇すると、倒産の情報が外部に漏れ、混乱を招きます。解雇に際しては、解雇通知書、源泉徴収票、雇用保険被保険者離職票を交付するべきですが、零細企業の場合などは、準備が間に合わない場合もあります。しかし、ベテランの弁護士と相談すれば、適切なアドバイスをしてくれます。交付するかしないかはさいておいて、解雇を告げるときに、肝心なのは、従業員に解雇後の生活確保について、充分な説明をすることです。何の保障もない役員と異なり、従業員は、最低限の生活は確保できるようなシステムになっています。失業保険の受給、破産で失職した場合は失業保険の保護が厚いこと、未払い賃金については国の立て替え制度があること等を説明し、金銭的な不安感を除去すべきです。ベテラン弁護士なら、解雇の際に立ち会い、その点を上手に説明してくれます。なお、解雇の際は、本来、予告手当を支払わなければならないのですが、支払うべき資金が給料一月分しかないときは、解雇予告手当として支払い、当月分の給与は、未払い給与にします。解雇予告手当は、国の立て替え制度の対象にならないからです。代表者の中には、どうしても、自分からは告げられないという人もいますが、その場合は、代表者に付き添って、弁護士が従業員に淡々と説明します。弊職に関する限り、今までの経験で、このやり方で、当日、トラブルになったことは、あまりありません。ほとんどの従業員は、薄々会社の窮状を察知していること、失業保険や未払い賃金立て替え制度等を十分に説明し、それなりの経済的補償を受けることがわかれば、従業員は、冷静に受け止めてくれます。ただし、例外もあります。それは、破産会社の規模がある程度で、代表者は、あまり会社の経理や経営について詳しいことは知らない、経理担当者や仕入れ担当者等の協力がないと、管財業務が円滑に遂行できない場合です。この場合は、申立代理人弁護士や管財人候補者と事前に充分な打ち合わせをする必要があります。この人たちには、Xデーよりも前に、破産手続を打ち明ける必要がありますが、その人物から、破産情報が漏れないともかぎりませんから、ベテラン弁護士と相談しつつ、慎重にことをすすめなければなりません。是非 ご購読ください。(大学でテキストとして利用されています。また楽天ブックス・ベストセラーの一冊になっています。)「図解で早わかり 倒産法のしくみ」森公任 森元みのり 共同監修http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4054定価: 1,890円(本体:1,800円+税) 「法的整理から私的整理まで、様々な倒産制度のしくみや実務上のポイントがわかる。また、解散・清算、M&Aの知識まで倒産関連の知識を集約。さらに、法人破産以外の個人民事再生や個人破産についてもフォローした一冊! 」
債権者集会は、どのように進行するか 債権者との対応 2014年11月30日 森法律事務所は、年間40社以上の企業の清算・再生を扱う、企業の整理再生に関しては、国内有数の法律事務所です。いつでも、お電話・メールをください。http://www.hasan-net.com/03-3553-5955弊所の特徴① 法人破産代表者破産の弁護士費用合計一律50万円②会社破産(個人破産は含まない)年間申立て件数40以上。国内トップレベル。③ 35年の豊富な実績と弁護士16名のマンパワー④破産会社代表者の破産後の生活確保に全力⑤ 従業員の給与確保と取引先への配慮に尽力電話の際は、必ず破産の相談ですと告げてください。専門部にまわします破産会社代表者や破産者にとってつらいのは、債権者集会です。破産すると東京地裁では、必ず債権者集会が開いています。破産法上は、書面で済ませることも可能ですが、債権者への情報の配当、債権者の倒産手続きへの参加という観点から、全件、開催するのが原則です。このことは、前回のブログで述べた通りです。東京地裁を例にとると、通常の債権者集会は、お昼休みを挟んで午前10時~午後2時までの間に、30分間隔で開かれますが、実際は、10分程で終わる場合は、ほとんどです。債権者集会場に入ると、まず名簿に名前をチェックし、集会場の中央にずらっとおいてある椅子に適当に座ります。見渡すと、前と後ろに、大きめの机が複数おいてあり、そこに番号札がおいてあります。時間が来ると、裁判所の人が前に立ち、これから債権者集会を開くこと、呼ばれた方は、番号の机の所に行ってください、と伝えます。そして、○○会社の方は、何番のテーブルにお願いしますと、順次呼び出していきます。待っていると、自分の会社名が呼ばれますので、指示された番号の置いてあるテーブルに行き破産会社代表者と代理人弁護士、管財人が座ります。裁判官が、それではこれから○○会社の債権者集会を開きます、と宣言しますが、その裁判官は、その事件を、その日、たまたま割り振られただけで、内容は、ほとんど知りません。管財人は、裁判所が用意してある所定の書面に簡単に記載し、今までの管財活動を報告し、その時点での破産財団の収集状況を簡単に述べます。財団放棄する場合は、口頭で裁判官に許可を求めます。出席している債権者にも、同じ書面が交付されます。破産者に資産が無く、破産手続費用を支弁するに足りず、ましてや債権者に配当する見込みがない場合は、これ以上、破産手続を続行する意味がないので、異時廃止になります。この場合、管財人は、裁判所に異時廃止の申し出をします。この間、せいぜい5分。裁判官から、出席している債権者に「何か確認したいことはありませんか」と聞きますが、たいていの債権者は、拍子抜けして、「なにもありません」と答えます。まれに興奮している債権者の方もいて感情的な発言をしますが、法律的には意味のない発言がほとんどで、裁判官から「それは、この集会で述べることではありません」とたしなめられて終わりです。そのうえで、裁判官が管財人報酬や財団放棄の許可をして、異時廃止決定をします。これが終わると、裁判官が、つづいて代表者個人の債権者集会を続いて開催します、と、宣言し、会社に対する債権しかない債権者は、退席するよう求めます。会社の破産と同様に進行しますが、違うのは、債権者集会が終了後、そのまま破産者個人の免責審問期日に移ることです。管財人が、「免責不許可事由がない」とか「免責不許可事由があるが、更生を考え、裁量免責が相当である」と意見を述べ、裁判官が、一週間をめどに判断しますと宣言して終わります。不許可は、めったになく、これは悪質だと思われる方でも、自分は免責不許可を経験したことがありません。是非 ご購読ください。(大学でテキストとして利用されています。また楽天ブックス・ベストセラーの一冊になっています。)「図解で早わかり 倒産法のしくみ」森公任 森元みのり 共同監修http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4054定価: 1,890円(本体:1,800円+税) 「法的整理から私的整理まで、様々な倒産制度のしくみや実務上のポイントがわかる。また、解散・清算、M&Aの知識まで倒産関連の知識を集約。さらに、法人破産以外の個人民事再生や個人破産についてもフォローした一冊! 」
債権者集会は 必ず出席しなければならないか 債権者との対応 2014年11月26日 森法律事務所は、年間40社以上の企業の清算・再生を扱う、企業の整理再生に関しては、国内有数の法律事務所です。いつでも、お電話・メールをください。http://www.hasan-net.com/03-3553-5955弊所の特徴① 法人破産代表者破産の弁護士費用合計一律50万円②会社破産(個人破産は含まない)年間申立て件数40以上。国内トップレベル。③ 35年の豊富な実績と弁護士16名のマンパワー④破産会社代表者の破産後の生活確保に全力⑤ 従業員の給与確保と取引先への配慮に尽力電話の際は、必ず破産の相談ですと告げてください。専門部にまわします[債権者集会の雰囲気]破産すると債権者集会が開かれます。破産会社代表者にとっては、最後の難関で、代表者の中には、昨夜は眠れなかったという方も、結構、おられます。まあ、出席してみると、拍子抜けするくらいなんともなく、あっさりと終る場合がほとんどです。稀に、消費者破産みたいに債権者が一人も来ないという債権者集会もありますし、不正な経営をして多数の消費者被害を出した事件のように異様な雰囲気の債権者集会になる場合もあります。[債権者集会の法的位置付け]さて、この債権者集会ですが、破産法上、債権者集会という単独での名称はなく、財産状況報告集会(31・1・2)、任務計算終了報告集会(88・3)、破産手続廃止に関する意見聴取集会(217・1)が、破産手続きの進行状況に応じて開かれることになっており、これらの集会を一括して債権者集会といっています。もっとも、破産法上は、裁判所の裁量で開催しないこともできるし、仮に開くとしても、任務計算終了報告集会(88・3)、破産手続廃止に関する意見聴取集会(217・1)は、書面による意見聴取でも可能とされています。[東京地裁での扱い]東京地裁では、必ず、これらの債権者集会を開くようにしています。債権者の方々に破産手続きで意見を述べる機会を与えるべきだと考えているからです。ただし、財産状況報告集会(31・1・2)、任務計算終了報告集会(88・3)、破産手続廃止に関する意見聴取集会(217・1)を同一日時に、同時に、債権者集会として開催する扱いをし、迅速な処理をしています。また、この債権者集会に併せて、債権調査期日・免責審尋期日も、同一日時に開催するようにしています。外形上は、債権者集会という一つの集会しか開かれていませんが、実は、法律的には、財産状況報告集会、任務計算終了報告集会、破産手続廃止に関する意見聴取集会、債権調査期日、免責審尋期日の合計5つの期日をひとまとめにして開催しているわけです。[債権者集会への出席を義務づけられている人]さて、この債権者集会ですが、破産法上、破産会社代表者債務者には債権者集会での説明義務があり(40)、説明義務がある以上は、その前提として出席義務もあると解されています。また破産申立代理人も同様に説明義務があり、したがって、債権者集会への出席義務もあると解釈されています。実は、この出席義務は、破産会社代表者や代理人弁護士ばかりでなく、現在、理事、取締役、執行役、監事、監査役及び清算人 、それに準ずる者、従業員であるもの、あるいは過去にその地位にあった者にも課せられています。ただ、自分は、かって、会社代表者以外の者が債権者集会に出席したことを経験したことはなく、見たこともありません。例がないとはいいませんが、稀有でしょう。[債権者集会の出席義務が免除される場合]さて、代表者は、必ずこの債権者集会に出席しなければならないものでしょうか。実務上は、病気等のやむを得ない事情がある場合は、出席しなくても可能とされています。ただし、事前に、代理人弁護士から上申し、裁判所の許可を求めることが必要です。それでは、債権者が激怒しており破産会社代表者が債権者集会に出席すると身の危険があるという場合は、出席を免除してもらえるでしょうか。残念ながら、これは、許可されません。東京地裁では、公式には、この点は述べていませんが、過去の経験からして、そういう基準はできているはずです。ただし、東京地裁では、これに対応するシステムが出来ており、安全に債権者集会に出席し、終了後も、安全に退席する配慮をしています。現実に、東京地裁で、この種のトラブルが起きたという話は聞いたことがありません。是非 ご購読ください。(大学でテキストとして利用されています。また楽天ブックス・ベストセラーの一冊になっています。)「図解で早わかり 倒産法のしくみ」森公任 森元みのり 共同監修http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4054定価: 1,890円(本体:1,800円+税) 「法的整理から私的整理まで、様々な倒産制度のしくみや実務上のポイントがわかる。また、解散・清算、M&Aの知識まで倒産関連の知識を集約。さらに、法人破産以外の個人民事再生や個人破産についてもフォローした一冊! 」
商事留置権の行使と消滅 債権者との対応 2014年11月17日 森法律事務所は、年間40社以上の企業の清算・再生を扱う、企業の整理再生に関しては、国内有数の法律事務所です。いつでも、お電話・メールをください。http://www.hasan-net.com/03-3553-5955弊所の特徴① 法人破産代表者破産の弁護士費用合計一律50万円②会社破産(個人破産は含まない)年間申立て件数40以上。国内トップレベル。③ 35年の豊富な実績と弁護士16名のマンパワー④破産会社代表者の破産後の生活確保に全力⑤ 従業員の給与確保と取引先への配慮に尽力電話の際は、必ず破産の相談ですと告げてください。専門部にまわします法人破産手続では、この商事留置権がしばしば問題になる。商品や仕掛品を預けてある、しかし、倉庫代を支払っていない、こういう場合、倉庫業者は、当然、商事留置権を行使する。破産法上、商事留置権は、他の特別先取特権に遅れるものの、特別の先取特権とされている(66)。法人が破産すると、まあ、たいていの倉庫業者は、この商事留置権を行使する。これに対し、破産管財人は、破産財団の形成に有利なとき、あるいは破産会社の事業継続に必要なときは、その留置されている商品等の価格に相当する金銭を弁済して、当該留置権の消滅を請求できる例えば、倉庫会社の債権額が500万円で、倉庫の中にある商品が100万円のときは、本来は、500万円を支払わなければ、倉庫の品物は取り出せないが、破産管財人は、商事留置権の消滅請求権(192条)を行使すると、100万円を支払えば、倉庫の商品を取り戻すことができる。これに似た制度に、担保権消滅許可の申立制度があるが、これは、破産財団に属する不動産の任意売却を円満に実現するための制度で、破産会社の商品を取り戻す制度とは目的が異なる。もっとも、留置目的物の価格が被担保債権を下回る場合は、ほとんど財団放棄である。留置目的物の価格が被担保債権を上回る場合は、商事留置権について別除権の受戻をする。現実には、この商事留置権が行使されるケースは、ほとんどない。 是非 ご購読ください。(大学でテキストとして利用されています。また楽天ブックス・ベストセラーの一冊になっています。)「図解で早わかり 倒産法のしくみ」森公任 森元みのり 共同監修http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4054定価: 1,890円(本体:1,800円+税) 「法的整理から私的整理まで、様々な倒産制度のしくみや実務上のポイントがわかる。また、解散・清算、M&Aの知識まで倒産関連の知識を集約。さらに、法人破産以外の個人民事再生や個人破産についてもフォローした一冊! 」