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法人破産・代表者破産の弁護士費用合計は、一律50万円! 森法律事務所は企業の倒産・再生を得意とする法律事務所です。年間取扱企業整理件数は40社以上、国内トップレベルの取り扱い件数です。

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破産手続における養育費の保護

森法律事務所は、年間40社以上の企業の清算・再生を扱う、企業の整理再生に関しては、国内有数の法律事務所です。いつでも、お電話・メールをください。
http://www.hasan-net.com/
03-3553-5955
弊所の特徴
① 法人破産代表者破産の弁護士費用合計一律50万円
②会社破産(個人破産は含まない)年間申立て件数40社以上。国内トップレベル。
③ 35年の豊富な実績と弁護士16名のマンパワー
④破産会社代表者の破産後の生活確保に全力
⑤ 従業員の給与確保と取引先への配慮に尽力
電話の際は、必ず破産の相談ですと告げてください。専門部にまわします.

別れた夫から、毎月養育費が振り込まれていたが、途中から滞納するようになった。そのうち、弁護士から突然手紙が来て、元ご主人は破産しますという連絡を受けた。
こういう場合、滞納した養育費や今後支払われるであろう養育費は、どうなるか。

わが国では、養育費支払い義務者に、「養育費の不払いは、子供への虐待である」という認識がなく、結構、平気で養育費を踏み倒す輩が少なくない。単なる借金の不払いと認識しているのだ。欧米では、養育費を支払わないと子供に対し重大な虐待があったとして、拘束してしまうところさえある。欧米と比べて、日本では、養育費に対する認識は、面会交流以上に遅れている。

しかし、破産法は、養育費を重大な権利ととらえ、かなり手厚い保護をしている。
まず、養育費の支払い義務が破産宣告前に決められていても、養育費そのものは日々発生するものだから、破産したからと言って、破産宣告後の養育費の支払いを免れるわけではない。破産宣告後に発生した養育費は、手続外債権として、破産の影響を受けることはない。東京地裁や大阪地裁でも、同様の処理をしている。
これに対し、破産宣告前の養育費は、破産債権となる。しかし、破産法は、破産者が扶養義務者として負担すべき費用に関する請求権(4号)は非免責債権と規定しているから、養育費支払い義務者が破産しても、養育費には何の影響もないことになる。また、この養育費を支払う契約上の債務も、同様に免責されない。

それでは、権利者が破産した場合、未回収の養育費は自由財産となるだろうか。
法律で規定された本来的自由財産は、99万円の現金と差押禁止財産に限られるところ、立法的にはかなり問題があるが、養育費そのものは差押禁止財産ではないから、本来的自由財産にならないことは間違いない。
問題は、自由財産拡張の申立てをしたときは、これを裁判所は認めるかどうかである。
これについて明言した文献はないが、養育費が子供にとって必要不可欠な権利である以上、これを自由財産とせず破産財団に組み入れてしまうのは、どう考えても非常識である。ただ、これは、弊所が家事事件を多数取り扱っている関係でそう考えるからで、倒産村のがちがちの弁護士は、基本的に財団拡充の発想しかなく、妻の財産分与でさえ、一律否認すべきだというありさまだ。そういう弁護士が管財人になると予断は許さない。
自分は、すくなくとも99万円の範囲なら直前現金化は認めてくれる可能性は高いと考えているが、破産段階で回収していない養育費はどうかとなると、かなり問題である。
民事執行の実務では、養育費に関しては、差押禁止の範囲の拡張が認められる可能性が高ことを考えると、破産申立代理人としては管財人に、強く自由財産の拡張を主張すべきである。財団の拡充しか考えない管財人にあたったら、破産者の子供のためにも、管財人と対決する覚悟が必要になる。

なお、危機時に養育費を一括払いした場合は、どうしても一括払いせざるを得ないという特別の事情がない限り、否認の対象になる。養育費は、日々発生するもので、養育費の一括払いはありえないからである。

(注)
会社破産の制度一般については、弊所代表弁護士森公任・副代表弁護士森元みのりの倒産法の全て」148~189頁で、一般の方向けに簡潔かつ簡易に記載してあります。より全体的な情報が必要な方は、下記の本を購読されるか事務所に相談にきてください。(倒産法でググると8番目の書籍として登場します。1~7番目は、専門家向けか司法試験受験用。素人向けではトップです。)
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4054

是非 ご購読ください。(大学でテキストとして利用されています。また楽天ブックス・ベストセラーの一冊になっています。)
「図解で早わかり 倒産法のしくみ」
森公任 森元みのり 共同監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4054
倒産法のしくみ[森公任]
定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「法的整理から私的整理まで、様々な倒産制度のしくみや実務上のポイントがわかる。
また、解散・清算、M&Aの知識まで倒産関連の知識を集約。
さらに、法人破産以外の個人民事再生や個人破産についてもフォローした一冊! 」

[専門家向け書籍]
「簡易算定表だけでは解決できない養育費・婚姻費用算定事例集」
新日本法規出版株式会社
編著/森公任(弁護士)、森元みのり(弁護士)
https://www.sn-hoki.co.jp/shop/product/book/detail_50910.html
■価格(税込):3,780円
平成27年9月発売
「★適切な養育費・婚姻費用を算定するために!
◆「養育費・婚姻費用算定表」を単純に適用できない、さまざまな事情を抱えた事例を取り上げ、増額や減額の要因となる事情別に分類しています。
◆各事例では、算定上の「POINT」を示した上で、裁判所の判断やその考え方についてわかりやすく解説しています。
◆家事事件に精通した弁護士が、豊富な経験を踏まえて執筆しています。 」
(弁護士向け書籍でありながら7000部。弁護士の5人に一人が購入した計算になります。おかげさまで爆発的に売れています!)

[一般向け書籍]
「カラー版 一番よくわかる 離婚の準備・手続き・生活設計」
共同著編者 森 公任・森元 みのり
2015年07月 発売
http://www.seitosha.co.jp/2_3950.html
販売価格 1,404円
離婚に悩むあなたの「知りたい」に応える決定版!!
「離婚という難題に直面している方の一歩を踏み出す道しるべになる本書は、離婚が認められる理由から、離婚までの準備、お金や子供についての考え方、離婚に関わるさまざまな手続きまで、離婚前後のあらゆるステージを網羅し、図解&イラストでわかりやすく解説しています! 」
(発売から半年間、Amazon・家庭法部門でナンバー1のベストセラーになっていました)

代表弁護士森公任と副代表弁護士森元みのりで、そのほか下記の本を出版しています。是非、ご購入ください。
[遺産相続関係]
「図解 相続・贈与・財産管理の法律と税金がわかる事典」
森 公任・森元 みのり 共同監修
2015年05月 発売
定価: 1,944円(本体:1,800円+税)
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4172
「人の死と同時に必ず発生する相続。相続が発生した場合の相続分、遺言、遺産分割、登記、裁判所での調停などの手続き、相続税知識まで幅広くフォローしています。また相続が発生する前から準備をしておきたい事項について、贈与税の知識や生前契約、成年後見、信託などの財産管理契約のしくみについても解説しています。
相続登記申請書、遺言状、契約書、家事調停手続きなどの書式サンプルも豊富に掲載しています。平成27年度の税制改正にも対応した安心の1冊です!」

「相続・遺言をめぐる法律と税金トラブル解決法129 」
森 公任・森元 みのり 共同監修
1,944円(税込)1,800円(税抜) 三修社
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4116
「非嫡出子の相続分改正や
平成27年1月施行の相続税制改正など、最新の内容をわかりやすく解説! 相続の基本ルールから遺言、財産評価、遺産分割、 相続税・贈与税対策まで。法律・税金の重要事項、手続きを幅広く網羅」
【本書でとりあげる主なテーマ】
相続の基本ルール/遺産分割/遺言書の書き方/相続財産の評価/相続税・贈与税のしくみ/税金対策/相続問題をサポートする機関や相談先/公正証書作成/調停や審判の手続き/相続登記/申告手続き など「ケース別相続分早わかり」など、豊富な図解とQ&Aで相続問題を平易に解説!

「最新 図解で早わかり 改正対応! 相続・贈与の法律と税金」
森公任 ・ 森元みのり 共同監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3992
三修社  定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「本書では、相続分や遺産分割、遺言など相続のしくみについて詳細に解説するとともに、相続税や贈与税のしくみ、教育資金の一括贈与に伴う贈与税の改正など平成25年度の税制改正についてわかりやすく解説しています。
さらに遺言書や相続手続きにそのまま利用できる書式なども掲載し、相続手続きをスムーズに進めることができるよう工夫しました。」

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未払い賃金の立替払いはどこまで期待できるか

森法律事務所は、年間40社以上の企業の清算・再生を扱う、企業の整理再生に関しては、国内有数の法律事務所です。いつでも、お電話・メールをください。
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弊所の特徴
① 法人破産代表者破産の弁護士費用合計一律50万円
②会社破産(個人破産は含まない)年間申立て件数40社以上。国内トップレベル。
③ 35年の豊富な実績と弁護士16名のマンパワー
④破産会社代表者の破産後の生活確保に全力
⑤ 従業員の給与確保と取引先への配慮に尽力
電話の際は、必ず破産の相談ですと告げてください。専門部にまわします.

破産申立の目的の一つとして、従業員の未払い給与を労働者健康福祉機構から立替え払いしてもらうことがあります。
自分の経験から言わせると、結構、これを期待している経営者がいます。一生懸命働いてくれた従業員に何とか報いたい、しかし、会社には従業員に支払う余裕はない、こういうとき、会社の破産宣告を受けることで、未払い給与を労働者健康福祉機構から立替え払いしてもらおうというわけです。
会社を倒産させるような社長に、そんな奴がいるのかと思う人がいるかもしれませんが、それは偏見というもの。自分はどうなってもいいから従業員だけは何とかしてほしいという社長は結構います。
事実上の倒産でも労働者健康福祉機構の立替払制度は利用できますが、倒産を装った詐欺事件が発覚し、現状は、なかなか認定がおりない。この制度を利用するためには、やはり破産宣告を受けるのが一番です。
破産宣告を受ければ、管財人が賃金台帳や就業規則、賃金規定、タイムカード等を確認し、未払い賃金を確定して、機構に提出する証明書を作成してくれます。

どういう場合に証明書を書いてくれるかというと、かなり管財人の個性があり、結構ゆるーく認定してくれる管財人もいるし、やたらと厳しい管財人もいます。なかには、自分で作業するのが面倒なもんだから、破産申立代理人に、「証明の印をおすけど、あとは、そっちで作成してくれ」なんて面倒くさがりの管財人もいます。

ただ、中には、これは?と思うケースもあります。社会保険なんかも入っていない、従業員一人か二人の企業なのに、なぜか退職金規定だけは充実していて、その規定だとかなり高額な退職金がもらえることになっている、しかし、過去の支払い実績は皆無。こういうときなんか、やはり管財人としては簡単に証明書を書いてくれません。退職金は、過去の支払い実績が重視されるからです。

厳しい管財人にあたったときは証明書はもらえないし、厳しくなくても、支払い実績のない退職金は、どんな管財人も、なかなか証明書を発行しない。
こういうとき、労働者は、どうするかというと、退職日において使用されていた事業所の所在地を管轄する労働基準監督署長に対し、所定の書類を提出して、未払いの定期賃金等の有無及び額について、確認申請ができます。これが認められれば、破産管財人の証明書ではなく、確認通知書を添付して、機構に立て替え払いを請求できます。


(注)
会社破産の制度一般については、弊所代表弁護士森公任・副代表弁護士森元みのりの倒産法の全て」148~189頁で、一般の方向けに簡潔かつ簡易に記載してあります。より全体的な情報が必要な方は、下記の本を購読されるか事務所に相談にきてください。(倒産法でググると8番目の書籍として登場します。1~7番目は、専門家向けか司法試験受験用。素人向けではトップです。)
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労働者への貸金と労働者の賃金の相殺は許されるか  債権回収に暴走する管財人

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労働者が会社からお金をかりている。この回収は事実上困難だ。一方、賃金や退職金が未払いになっており、財団債権の規模から支払わざるを得ない。
こういうとき、管財人は給料と貸金の相殺ができるだろうか。
当たり前の話だが、できるわけがない。賃金には全額支払いの原則があり(労働基準法24条Ⅰ)貸金との相殺ができないからである。
しかし、管財人のなかには、ともかく財団の拡充に奔走し、財団拡充のためには手段を選ばない管財人が、少数だが、いる。従業員は、会社の倒産で生活に困窮している場合が多い。管財人は、その点に配慮すべきだが、こういう配慮がまったくなく、ともかく財団拡充に奔走するのである。

こういう管財人は、合意による相殺を計画する。労働者の合意があれ賃金と貸金は相殺できることから、労働者の無知に付け込んで相殺しようというのである。
実際に管財人が労働者に「裁判起こしていいのか?いやなら貸金と相殺してもいいな」と詰めよれば、多くの労働者は裁判という言葉におびえ、たいていは相殺に同意するだろう。
破産申立代理人が東京地裁にクレームを述べても、東京地裁は、例によって管財人に丸投げだから、あまり関心を示さない。
かくて一部の管財人のもとでは、労働基準法はあってなきがごとしである。

しかし、労働者の自由意思は、裁判例では、かなり厳しく認定されている。従業員が「いいです」といっただけでは駄目で、どういう経緯で同意したのか、相殺されたほうが従業員に有利な場合か、充分な説明のもとでの同意か、また、同意に当たって管財人から十分な情報提供がされているか、かなり重視される。
管財人は、労働者の置かれた地位と状況を十分認識し、安易な相殺はすべきでない。
なお、賃金控除協定(労基24条Ⅰ但書)があれば、全額支払いの原則は緩和されます。例えば組合費、社内預金、社宅費等です。しかし、その場合でも、給与の4分の1を超えることはできないという裁判例もありますが、暴走がとまらない管財人の場合なんか、労働者の保護なんか頭にないんでしょうね。

まあ、労働者の賃金に関わらず、管財人の暴走は、少なくない。この前、破産にあたり、妻が破産直前に財産分与として不動産の2分の1を取得したのをけしからんと噛みついてきた管財人がいた。当方もびっくりして、相当価格での財産分与なら問題ないと反論したが、譲らない。この管財人は、妻の2分の1の権利も、財団拡充のためには、犠牲になって当然と考えているのだ。

(注)
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破産債権者表に記載された債権が非免責債権であるとして執行文を付与してもらう方法

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破産法は、債務者の財産の清算に関する包括的強制執行です。
破産手続においては、配当が見込まれない同時廃止や異時廃止など以外の場合には、債権者から債権届出がなされ、破産管財人、裁判所が債権の存否、内容を調査し、調査結果に基づいて裁判所書記官が債権表を作成します(破産法115条)。
 この債権表には、確定判決と同一の効力があるものとされ(破産法124条3項、221条)、債権者は、債権表に基づいて、破産・免責手続終了後に強制執行をすることができます。つまり、執行力を有することになります。

しかし、破産手続き中は、強制執行手続きはできませんから、いくら「確定判決と同一の効力」といっても、意味はありません。

破産手続が終了すれば、会社の場合は、解散してしまうので、この債務名義そのものが無意味になります。

個人破産の場合は、破産手続が終了すれば強制執行は可能となりますが、免責許可の申立てがあった場合は、強制執行は停止します(法249条1項)し、普通は、免責許可の申立てがありますから、執行力を有しているといっても、停止状態になっています。

免責許可決定が確定したら、その旨が破産債権者表に記載され、破産債権者表の記載により強制執行はできなくなります。(法253条3項)。この破産債権者表の記載により、非免責債権を除く債権については執行力が失われることになります。免責というのは、この執行力を失わせることをいうのであって、債務そのものが消えてなくなるわけではありません。債務は残るが、執行力がない債務になってしまうわけです。)

逆に、免責不許可になった場合は、単に債務について責任を免れなくなるだけでなく、破産債権者表の記載にある確定した破産債権は全て、債務名義のある債権になってしまうことになります。つまり、訴訟で判決をもらう必要はなく、執行力を有し強制執行ができる訳ですね。停止していた執行力が復活してしまうことになります。

そうなると、非免責債権については、免責許可となった場合でも破産債権者表の記載による強制執行の問題が出てきます。

まず免責許可決定が確定している場合であっても、破産債権者表の記載内容等から、ある破産債権が非免責債権であると認められる場合には、裁判所書記官が民事執行法26条の規定により執行文を付与できます

破産債権者表の記載内容等から、ある破産債権が非免責債権であると容易に認められない場合は、どうすればいいでしょう?
これについて、平成26年4月24日最高裁判決が注目すべき判決をだしています。

この判例では、破産者について免責許可決定の確定後、破産者に対して確定した破産債権を有していた債権者が、上記破産債権は法253条1項2号に掲げる請求権(破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権)であると主張して、債権者は、裁判所に執行文付与の申し出をしました。しかし、書記官から、破産債権者表の記載内容等から、「当該破産債権が非免責債権であると容易に認められる場合」ではない、として、執行文付与の訴えを起こしたらどうですか?とアドバイスされたようです。そこで、代理人は、その書記官のアドバイスに基づいて、執行文付与の訴えを起こしました。

執行分の付与申立てをしても、条件の成就が必要な場合や、債務者が死亡して相続人が債務を承継した場合などは(債務名義の承継)、債権者(原告)が文書で裁判所書記官にそうした事実の証明をする必要があります。(民事執行法27条1、2項)。書記官が、「これで証明できている」と判断したら執行文が付与されますが、文書による証明が十分にできない場合、執行文は付与してもらえません。
こういう場合は、債権者は、債務者を被告とする執行文付与の訴えにより、訴訟手続で事実を証明して(この場合文書だけでなく証人尋問等もできることになる。)、判決により執行文を取得することになります(民事執行法33条)。

破産部の書記官は、非免責債権か否かも、これと同じだろうと考えたわけです。破産債権者表の記載内容等から、ある破産債権が非免責債権であると認められない場合は、執行文付与の訴えを起こしたらどうですか?と代理人弁護士にアドバイスしました。そこで、破産者に対し、上記破産債権が記載された破産債権者表について、執行文付与の訴えを提起しました。
 しかし、執行文付与の訴えは、条件成就と債務名義の承継について、文書で証明することができないことを要件としており(民事執行法33条1項)、文言上、債権者の債権が非免責債権となるか否かを確定することは予定されていません。
 
最高裁は、「民事執行法33条1項は、その規定の文言に照らすと、執行文付与の訴えにおける審理の対象を、請求が債権者の証明すべき事実の到来に係る場合におけるその事実の到来の有無又は債務名義に表示された当事者以外の者に対し、若しくはその者のために強制執行をすることの可否に限っており、破産債権者表に記載された確定した破産債権が非免責債権に該当するか否かを審理することを予定していないものと解される(最高裁昭和51年(オ)第1202号同52年11月24日第一小法廷判決・民集31巻6号943頁参照)。
このように解しても、破産事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官は、破産債権者表に免責許可の決定が確定した旨の記載がされている場合であっても、破産債権者表に記載された確定した破産債権がその記載内容等から非免責債権に該当すると認められるときには、民事執行法26条の規定により執行文を付与することができるのであるから、上記破産債権を有する債権者には殊更支障が生ずることはないといえる。
そうすると、免責許可の決定が確定した債務者に対し確定した破産債権を有する債権者が、当該破産債権が非免責債権に該当することを理由として、当該破産債権が記載された破産債権者表について執行文付与の訴えを提起することは許されないと解するのが相当である。」

それでは、書記官から、非免責債権か否か俄かに判断できないとして執行文の付与を拒絶された債権者は、どうすればよいでしょう?
すでに確定判決と同一の効力をもっているから訴えられないとも考えられますが、そうなると、債権者は打つ手がなくなります。執行文付与の申立が拒絶された場合は、訴えの利益があるものとして、訴訟提起ができると解されます。


(注)
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この事業再生方法については、ホームページでも、ブログでも、何度も述べております。例えば弊所のホームページでは、
「財産を移さず人脈やノウハウを移して新たに企業を設立すれば問題ありません。
経営者や従業員の人脈、専門技術、経験、顧客や取引先からの信頼、そういうものは、破産で失うことはありません。財産を移さず、新会社を設立し、そこで経営者や従業員の人脈、専門技術、経験、顧客や取引先からの信頼を利用して新規に事業を開始すれば、問題ありません。」
と述べています。
しかし、前提があります。新会社は、旧会社と全く別の会社であることが明白であり、しかも、取引先等の関係者にも認識できていなければなりません。こっそりと新規会社を起ち上げ、取引先は、その会社が旧会社と同一のものだと誤認していたような場合は、事業譲渡とみなされる可能性が高いと思わなければなりません。そうなると、新会社は、旧会社の負債について全面的に責任を負うことになります。
これを防ぐためには、旧会社を破産によってきちんと清算し、新会社は全く別会社であることを内外に明確にする必要があります。
「簡易な事業再生」とは言わずに、あえて「破産制度を使った」簡易な事業再生とネーミングしたのは、そのような趣旨です。
これに関して注目すべき東京地裁の判例(東京地裁平成27年10月2日判決)があります。
1 事案の概要
① A社は、正式名称はA社だが、取引先やウエブサイトでは、Bという名称を標章としていた。
② A社代表者は、A社の資金繰りに窮したことから、別の休眠会社の商号をB社と改名し、事業目的もA社と同一のものに、代表取締役もA社の取締役の中から選任し、本店所在地もA社と同じビルに変更した。
取引先は、B社とA社が同一の会社であることを誤認し、B社も、A社とは異なる会社であることを説明しようとはしなかった
2、B社の主張
①会社法22条1項は、事業譲渡において、譲受会社が「譲渡会社の商号(会社名)」を引き続き使用する場合にのみ、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負う、と定めている。
B社は、A社の通称であはるが、A社の商号ではない。
③会社法22条1項の責任はない。
3、裁判所の判断
(1)結論
会社法22条1項の類推適用により、A社の債務について弁済する義務を負う。
(2)理由
会社の取締役や、従業員は同一であり、事務所も同じビルで、顧客や取引先もほぼ同一である
商号は、同一ではないが、通称を使用している。
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(注)
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