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法人破産・代表者破産の弁護士費用合計は、一律50万円! 森法律事務所は企業の倒産・再生を得意とする法律事務所です。年間取扱企業整理件数は40社以上、国内トップレベルの取り扱い件数です。

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法人破産における破産申立代理人の法的義務

森法律事務所は、年間40社以上の企業の清算・再生を扱う、企業の整理再生に関しては、国内有数の法律事務所です。いつでも、お電話・メールをください。
http://www.hasan-net.com/
03-3553-5955
弊所の特徴
① 法人破産代表者破産の弁護士費用合計一律50万円
②会社破産(個人破産は含まない)年間申立て件数40以上。国内トップレベル。
③ 35年の豊富な実績と弁護士16名のマンパワー
④破産会社代表者の破産後の生活確保に全力
⑤ 従業員の給与確保と取引先への配慮に尽力
電話の際は、必ず破産の相談ですと告げてください。専門部にまわします


この前、ある法人破産事件を受任した。その代表者にとって、弊所は、二つ目の法律事務所だった。
実は、その法人は、4年前に一回目の不渡り手形を出し、その一か月後に2回目の不渡りが出ることになっていた。そこで、その代表者は、1回目の不渡を出したのち、ある法律事務所に駆け込んだ。破産手続きを依頼したのだ。

この場合、その依頼を受けた弁護士事務所は、少なくとも2回目の不渡を出す前日までに破産申立てをしなければならない。そして介入通知は、その破産申し立て後に出すのが弁護士としての常識だ。そうしなければ、売掛金等、会社財産の確保が出来ないからだ。
ところが、その一回目の法律事務所の行った処置は、正反対だった。会社財産の確保など考えず、受任直後にまず介入通知を出したのだ。そして、以後、4年間、その法律事務所は、その受任した法人破産事件を放置し続けた。
その間、債権者や国税が売掛金や預金を差し押さえし続けた。会社財産は、どんどん散逸し続けた。売掛金も、3年で時効になる。時効にかかったのちも、事件を放置し続けた。

会社代表者は、きちんと弁護士費用を支払っている。にもかかわらず、その法律事務所は、破産手続きをとらなかった。理由は、依頼者が必要書類をもってこなかったということだ。
しかし、これは理由にならない。こういう状況では、書類不備でも破産申し立てをすべきであって、裁判所も、後日書類を追完するという条件で、破産申し立てを受理し、破産宣告を出してくれる。

なぜ、こんなバカなことをしたのか。理由は簡単だ。サラ金などからお金を借りまくり破産する消費者破産と、通常の法人破産が全く異なる制度だという認識がなかったからだ。
確かに、消費者破産では、サラ金vs多重債務者という対立図式があり、申立代理人は、サラ金から多重債務者を守り、破産者の経済的公正を図る義務がある。ところが、法人破産では、債権者vs債務者という図式はなりたたない。債権者に公正な弁済を確保すべく、申立代理人弁護士は、会社財産の散逸を防ぎ、速やかに破産手続きを取るべき義務があるのだ。
この違いから、消費者破産は、受任後直ちに介入通知を出すべきで、普通の会社破産は、逆に、破産申立て後に介入通知を出すことになる。
ところが、この弁護士は、消費者破産を処理するように、法人破産を処理したのだ。

この事務所に限らない。多くの法人破産のホームページを見ると、いまだに「受任後ただちに介入通知を出し債権者の請求を停止させます」という記事にでくわす。
例えば「法人破産 弁護士」で検索すると多くの弁護士のホームページが出てくる。その多くが、受任後ただちに介入通知を出すと宣伝している。
「地裁における法人破産 1.受任通知を発送・取引履歴の開示」
「弁護士による会社の自己破産手続きの流れ1.法律相談2.受任通知及び取引履歴の開示請求」
「法人破産手続きの流れ  1.法律相談 2.受任通知及び取引履歴の開示請求」
「直ちに介入通知を出します」
「1.弁護士に相談 2.受任•債権者に対して受任通知の発送。→弁護士が窓口となり、債権者対応を行います。」
これらの事務所は、さすがに4年間も事件放置をしないだろうが、それにしても、「まず受任通知を出します」なんてこれらの事務所に破産手続きを頼んだ企業はどうなったのだろうか。



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「図解で早わかり 倒産法のしくみ」

森公任 森元みのり 共同監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4054
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また、解散・清算、M&Aの知識まで倒産関連の知識を集約。
さらに、法人破産以外の個人民事再生や個人破産についてもフォローした一冊! 」
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会社経営者が破産を決断できない最大の理由は「恐怖」

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客観的に見て、選択肢は破産しかない。しかし、それでも、ほとんどの経営者が破産を決断できない。決断できないばかりでなく、無理をして金を借りても、目先の資金繰りをしのごうとする。
当初は、金利の安い銀行等から借り、次は、会社の資産や個人資産で換金できそうなものは、全て換金する一方で、借りられる金融機関は、ノンバンクも含めて借りまくる。
これでも枠がいっぱいになると親族を連帯保証人として金融機関から借り入れ、さらには街金に手を出す。町金に手を出すと過酷な取り立てが始まり、苦し紛れに、架空売買でローン会社からお金を騙しとったりする。

なぜ破産を決断できないのか?なぜ親族に迷惑をかけ、あるいは犯罪行為をしてまで破産を回避するのか?
自分は、まだ若かった頃、この経営者の心理がどうにもわからなかった。しかし、年を取り、また経営者的な立場(現在、弁護士16名含めて総員28名です。零細企業ですが)にたつと、その心理がなんとなくわかるようになった。

一言でいうと「破産」が「怖い」のだ。確かに多くのホームページを見ると、「破産は、借金を帳消しにしてくれる反面、失うものもそれほどない。だから破産することは怖くない」という記事であふれている。追い詰められた経営者の多くは、その程度の破産知識はネット情報などで持ちあわせている。しかし、それでも「怖い」。
なぜなら弁護士の説明は、もっぱら法律的な側面での説明であり、法律とは離れたところでの「恐怖心」については、何も説明がないからだ。

しかし、経営者にとって最大の関心ごとは、そういう法律的なデメリットではなく、周囲の軽蔑であり、周囲からの孤立である。
従業員から自分の人生を台無しにしたと恨まれる、妻から嫌われ子供たちからは軽蔑される。永年お世話になった取引先や友人への不義理で、かられを激怒させ、もう二度と顔を合わせられない、誰も口をきいてくれず、陰で悪く言われ、完全に孤立する、等々。
経営者の、こういう追い詰められた心理には、残念だが、弁護士は対処方法がない。ここに会社分割等の、甘い、しかし違法な計画をもちかけて経営者に付け込む悪徳整理屋が跋扈する理由がある。

ただ、個人差があるとは思うが、自分の経験からして、経営者のそういう恐怖心は、たいていの場合、「思い過ごし」だ。
多くの従業員は、表面的かもしれないが、むしろ「お世話になりました。社長も元気で」といって去っていく。
また妻も、破産するようなダメ夫を嫌うというより、計画性がなくただ逃げ回るだけの夫を嫌うのであり、破産という決断をすれば、見直してくれる場合が多い。少なくとも、破産したことで婚姻関係が破綻することはない。破産を契機として離婚する場合は、破産する前から、その夫婦は、破綻していたのだ。
取引先・友人から冷たい目で見られることも確かだが、自分の経験では、友人や取引先のうちの一部は、逆に、声をかけて励ましてくれる。また、多くの場合でその友人や取引先からは、新しい職場を紹介してもらえる。彼らもまた、明日は我が身というリスクは認識し、「困ったときはお互いさま」と考えてくれる。

破産を回避するということは、問題解決を先延ばしにし症状を悪化させているだけだ。自分の経験からいわせてもらうと、破産というルビコンを渡れば、意外と明るい世界が開けている。周囲の軽蔑、周囲からの孤立は、ないとは言わないが、非常に少ない。

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破産した場合の債権者への対応について

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[介入通知は効果なし]
会社経営者が自己破産の申立てをするに際し、一番気になるには債権者の動向でしょう。「破産したと知ったら、取引先の連中や町金連中が押しかけてきて、つるしあげをくらうんじゃないのか」という恐怖感は、申立会社の役員が等しく抱きます。
よく「弁護士が介入通知を出すと取り立てがストップするから、心配はいりません」という記載がホームページに書いてありますが、「弁護士の介入通知」に取立禁止の効力があるのは登録貸金業者だけで、銀行や取引先には何の効力もありません。貸金業者以外は、弁護士の介入通知があっても、介入通知を無視して、会社や代表者に直接請求できます。

[破産宣告前は身を隠した方が良い場合]
自分の経験から言わせると、それでも、多くの取引先は、破産手続きに粛々と従い、代表者を捕まえて吊し上げるようなまねはしません。99%は、心配しなくて結構です。
しかし、レアケースですが、事案によっては、破産申立て日や数日間は、身を隠したほうがよい場合もあります。どういう場合がそれにあたるかについては、経験ある弁護士の指示に従えば良いでしょう。
ただし、おそれるあまり偏波弁済をしてはいけません。また安易に身を隠すと会社や工場が不法占有される可能性があります。経験豊富な弁護士と十分相談して行動すべきです。

[破産宣告後]
破産宣告後は、管財人が窓口になり、破産手続きを無視して取り立てをすることはできなくなります。これを無視する債権者には、管財人が毅然とした態度をとってくれます。まさに破産申し立てをすることで、代表者と家族を守ることができるようになるのです。

[債権者集会]
しかし、破産宣告さえあれば、あとは心配ないとはいえません。申立会社代表者には、最大の難関が待ち構えているからです。申立て日から数か月後に開催される債権者集会です。
 「債権者集会」には,債務者である経営者が出席することが事実上義務付けられています。ここには、担当裁判官、管財人、破産会社代表者、破産申立代理人弁護士のほか、債権者も出席することができます。自分の経験から言わせると、債権者出席がゼロということは、普通、ありません。少なくとも、1,2名の債権者は出席します。
弁護士のホームページなどには、債権者集会に債権者が来ることは、ほとんどないと記載されていますが、これはほとんどの債権者が貸金業者の消費者破産の場合です。
しかし、法人破産となると、そうはいきません。多額の売掛金を抱えた取引先、申立会社の詐欺的な借り入れの被害者等々が、債権者集会に出席することが、しばしばあります。
普通債権者集会は、5~10分程度で終わるのですが、法人破産の場合は、騙された人、連鎖倒産の危機に陥った債権者等が押しかけてきて、紛糾することが、まれですが、あります。
こういうリスクが予想される場合は、事前に申立てに際し、要注意債権者をリストアップし、予想されるクレームの内容と、それに対する破産会社代表者の見解を裁判所や管財人に報告しておきます。
問題債権者は、債権者集会まで黙っていることはありません。宣告と同時に、管財人に連絡を取り、クレームなどを言います。しかし、管財人が、それに対し、適切な回答と指示をしてくれるので、債権者集会までには、問題債権者は、たいてい落ち着きを取り戻しています。
それでも、依然として納得しない債権がいる場合もありますが、その場合は、申立代理人と債権者集会の進行について事前に打ち合わせをしますので、心配されることはありません。



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法人破産の場合の会社代表者と家族の生活確保

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法人を破産させれば法人は、解散し、それで全て終了となります。しかし、代表者個人は、同時に破産しても、今後も人生は続きます。代表者は、破産宣告をスタート地点として、再び、自分と家族のために、人生の再スタートを切らなければなりません。

第一に、代表者は自己破産とするにあたり、できるだけ多くの財産を確保する必要があります。
東京地裁では、在京三弁護士会と協議のうえ、以下の財産は、自由財産として換価不要、つまり、破産者が、それを所持したまま破産できると定めています。
1、99万円に満つるまでの現金
2、残高が20万円以下の預貯金
3、見込み額が20万円以下の生命保険解約返戻し金
4、処分見込み額が20万円以下の自動車
5、居住用家屋の敷金債権
6、電話加入権
7、支給見込み額の8分の1相当額が20万円以下である退職金債権
8、支給見込み額の8分の1相当額が20万円を超える退職金債権の8分の7
9、家財道具
10、差押禁止財産
これらについては、自由財産拡張の申し立てをしなくとも、自由財産拡張の裁判があったものとして取り扱いをしています。
したがって、例えば、99万円の現金、20万円の預金は所持できますから、事実上、119万円までは、現預金を所持したまま自己破産できることになります。見込み額が20万円以下の生命保険解約返戻し金があれば、129万円まで所持したまま自己破産できることになります。中古の自動車で20万円以下なら、自動車も手放す必要はありません。このことは、以前のブログでのべている通りです。
「110万円を持ったまま自己破産できるCategory:破産 Date:2013年09月02日」
さらに場合によっては不動産も保持できる場合があります。

第2に、もし家族の方が従業員として働いていたなら、過去の未払い賃金については独立行政法人労働健康福祉機構から未払い賃金を支払ってもらうことができます。
また将来については、家族の従業員の方も、他の従業員同様、失業保険を受給できます。
おそらく、多くの場合、雇用保険が未払いだったり、そもそも雇用保険に未加入だったりするケースが多いと思われますが、それでも、失業保険は受給できます。


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法人破産で「直ちに介入通知をだします」って、いいんですか? まずいです!!

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法人破産に関する弁護士のホームページを見ると大体、次のような順序で破産申し立てをすると記載してあります。
「1、依頼を受けると各債権者に直ちに介入通知を出します
2、 すぐに取り立てがとまります
3、 その上で事情を聴き、準備が整い次第、破産申立てをします
4,弁護士費用は、申し立て時まで分割でお支払いください」

結論から言うと、これはめちゃくちゃです。「ずっと昔、会社をつぶしてそのまま放置してあります」という例外的なケースにしか該当しません。
法人破産は、ほとんどの場合、現に営業中か、会社を閉めてまもない状況で行われます。こういうケースで、まず介入通知をだし金融業者の取り立てを停止させ、その上で、書類を作成し、完成したら破産申し立てをするなんてことになったら、とんでもないことになります。

会社代表者が破産を決意するようなときは、多くの利害関係人が絡んでいます。従業員は、大体、給料が遅延しています。取引先の売掛金は、多くの場合、支払いが遅れています。法人税や源泉徴収税は滞納し、社会保険料も、何か月もおさめていません。
こんな状況で、介入通知をだしたらどうなるでしょう?金融機関は、預金と相殺しますし、税務署や社会保険庁はめぼしい資産をかたっぱしから差押します。
取引先は会社に押しかけ、おさめた商品を持ち出そうとします。従業員だって、給与の支払いを求めて事業所を占拠することが考えられます。
法人破産で、「直ちに介入通知を出す」なんて行為は、混乱しかもたらしません。「書類ができました、それではそろそろ破産しましょう」なんていう時期には、会社破産そのものが不可能になっているのです。

しかも、そういうスローな対応は、従業員の方にも大変な迷惑をかけることになります。
というのは、通常は、会社の破産を従業員に告げるとき同時に従業員を解雇しますが、給料が財団債権として保護されるのは、破産宣告時から遡って過去3か月分の給料と予告手当です。それ以外は、優先債権になります。
また未払い賃金立て替え制度で国から払ってもらえる未払い賃金は、破産日の6か月前の未払い賃金に限定されます。
解雇してそれからゆっくり書類を作成し破産の申立てをしていたら、賃金債権は財団債権にならず、未払い賃金立て替え制度も利用できなくなる可能性があります。

法人破産で真っ先にやるのは、何時、破産を申し立てるかーXデーを決めることです。代表者が破産を決意するのは、ほとんどの場合、次の手形決済日に手形が落とせない、次の支払日に買掛金が支払えない、とぎりぎりまで追い詰められた時です。
そうすると、Xデーは、手形の決済日、買掛金支払日になります。
多くの場合、買掛金の支払日、手形決済日は、売掛金入金の翌日にあわせて設定してあります。そこで、入金日に、現金を確保し、予納金や弁護士費用を確保した上で、翌日の決済日に自己破産の申立てをすることになります。介入通知は、申立て後にいっせいに出すことになります。

その上で、Xデーから逆算して、いつまで、どういう書類を準備するか、従業員や債権者への対応をどうするか、を決めておき、全ての準備を整えておきます。
もちろん、Xデーまでは、情報管理を徹底しておかなければなりません。

やっかいなのは、法人代表者が弁護士のところに来るときは、決済日まであと一週間とか,極めて切迫した状況にあることです。弁護士は、この短い期間のなかで、全ての準備を整えなければなりません。法人破産は、経験と規模が要求されるというのは、このためです。

法人破産の申立代理人弁護士は、できるだけ多くの財産を管財人に引き継ぐ義務があり、また、今まで働いてくれた従業員の今後の生活を可及的に確保する義務があります。
「まず債権者への介入通知を出し、取り立てをストップさせます」なんてことは、法人破産では絶対にやってはいけません。当然、弁護士費用も、一括払いとなります。「(完済したら申立てする、つまりすぐには申立てしないことが前提で)弁護士費用は分割払いで結構です」なんて広告文句につられてはなりません。


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