〈詐害行為否認〉 原則 詐害行為については、期間は無制限ですが、債務者が害することを知っていたという主観的な制限を加えています。(債権者を害することがわかりながら行う詐害的行為。)詐害行為の制限は、企業の取引活動に重大な影響を与える行為でないので期間による制限はせず、害意のある行為だけを規制しようとしたものです。 特則 詐害の意思がなくとも下記の場合は、否認されます。 ① タダ、またはタダ同然の行為(無償行為及びこれと同視すべき有償行為)は、 支払い不能六か月以内なら有無を言わさず(債務者の害意や相手方の悪意と関係なく)否認できます。 ② タダ同然とは言えないけれど、不相当な対価の場合(債権者の受けた給付の価額が当該行為によって消滅した債務の額より過大である場合)は、アンバランスな部分(全部否認できるのではなく、債権者の受けた利益が消滅した債務よりも過大な部分)だけ否認できるものとされています。 ③ ちゃんと相当対価を得た行為でも、財産隠しを狙ったような行為は有無を言わさず否認できます。
高松高裁決H8・5・15は、この問題を正面から扱った数少ない判決です。要旨は以下の通りです。 ① 相続財産自体が破産者である。 ② 破産者の相続人は破産手続きの承継人ではない。 ③ したがって、免責申立てを認める余地はない。 ④ 破産者の相続人は、限定承認や相続放棄をすることにより、相続債権者が相続人の固有財産に対して権利行使するのを阻止すべきである。