企業再生の手法その1-民事再生に対する世間の誤解 企業再生 2016年01月07日 森法律事務所は、年間40社以上の企業の清算・再生を扱う、企業の整理再生に関しては、国内有数の法律事務所です。いつでも、お電話・メールをください。http://www.hasan-net.com/03-3553-5955弊所の特徴① 法人破産代表者破産の弁護士費用合計一律50万円②会社破産(個人破産は含まない)年間申立て件数40社以上。国内トップレベル。③ 35年の豊富な実績と弁護士16名のマンパワー④破産会社代表者の破産後の生活確保に全力⑤ 従業員の給与確保と取引先への配慮に尽力電話の際は、必ず破産の相談ですと告げてください。専門部にまわします再生型法的倒産処理の代表格が民事再生法ですが、かなり世間で誤解されている法律でもあります。弊所に民事再生の相談に来られる方は多いのですが、たいていは、以下のような認識で来られます。「経営が赤字だが、この手続きを使えば、債務の8割はカットできて、経営者は経営権を維持できる。債権者は、破産より弁済率が高くなりますといえば、喜んで再生計画案に同意してくれる。メデタシメデタシ」確かに、民事再生法では法律の上では従来の経営者や役員がそのまま居座ることができる、となっていますし、債権者集会で債権者の2分の1、債権額の2分の1の過半数の賛成を得て裁判所から再生計画が認められ、債務の8割9割のカットが認められます。しかし、こんなうまい話あるわけないでしょう! [破産より弁済率の高い再生計画案を示すだけではダメ]そもそも、会社を倒産せた経営者の続投を許すほど世間は甘くありません。いくら立派な弁済計画案を作成しても、倒産させた経営者の再生計画案など誰も信用しません。「そんな将来の話など、信用できん、少額でもいいから、今、配当しろ!」となります。[本業が黒字でないとダメ]また、本業で利益が出ず赤字がずっと続いている会社、リストラも行ったが利益がでない会社は民事再生などしても意味がありません。債権カットしても、延命するだけの意味しかありません。(そもそも、債権者が債権カットに応じません)したがって、民事再生する会社は、本業が黒字であることが大前提です。[廃業させると影響が大きい会社でないとダメ]本業が黒字でも、みんなに迷惑をかけた会社である以上は、取引社会から退場を願うのが世間の常識、その会社が廃業すると世間が困る、こういう会社でないと企業の存続はありえません。ただし、顧客が最終消費者の場合は、選ぶのは消費者で、こういう場合は、代替性のある会社でも民事再生は可能です。[経営の続投はダメ]また、経営者の多くは、経営者の続投を期待しての民事再生でしょうが、経営に問題があったときは、経営者の交代を債権者は求めますし、裁判所も、交代させています。[キャッシュがないとダメ]民事再生の最大の難点は、高額なキャッシュが要求されることです。裁判所の予納金は200万円~1300万円まであります。弁護士費用は予納金と同額なら良心的価格で、現実には、予納金の倍近くが弁護士費用の相場といわれています。費用だけで2000万円以上と考えておいたほうがいいでしょう。さらに民事再生手続き期間中はもちろん、信用が回復するまでは仕入れは、全てキャッシュ。仕入れのために多額なキャッシュが必要になります。最低6か月は仕入れは現金です。費用と仕入れに、莫大なキャッシュを工面する必用があります。 [取引先との信頼関係維持はダメ]民事再生法では銀行などの担保付債権を持っている債権者の債権をカットすることはできません。一方、大切な取引先との債権は大幅にカットされます。取引先からすれば、銀行を優先的に支払い、盟友の俺たちを後回しにしていると映ります。取引先の信頼関係の維持は困難です。[担保権者の同意がないとダメ]担保権の実行も阻止できません。担保権者としては、担保権を実行すれば回収できるのに、あえて回収せず、民事再生計画に同意するなんてありえないし、もし単なる同情から同意したら背任罪になります。担保権者の同意を得るのは容易なことではありません。[多額の法人税が払えないとダメ]仮に再生計画が認められ債権カットに成功したとしても、債務免除益課税という問題は残り、カット分に相当する法人税を払わなければならなくなります。費用と仕入れに現金が必要とされるばかりか、今度は法人税にも多額の現金が必要になります。[結構、破産に移行する]以上の現実から、民事再生を申立ても、破産に移行してしまうというケースが、かなりの割合であります。特に、地方の裁判所に申し立てたケースで多いですね。某大手の興信所の調査では、約4分の1が破算に移行するそうです。仮に破産に移行しなくても、100%とか、90%の弁済計画になったうえ、代表者は詰め腹を切らされるという、何のために民事再生を申し立てたのか、さっぱりわからないという安直な申立てが少なくありません。これは、地方の債権者が強硬というわけではなく、地方の裁判所での申立そのものに無理があったからです。「債権者は、破産より弁済率が高くなりますといえば、喜んで再生計画案に同意してくれる」という安直な、取引の実態を知らないまま、申し立てしまった結果です。[民事再生の現状]鳴り物入りでスタートした民事再生ですが、一昨年は、民事再生申請件数は、わずかに165件。内訳は、東京が56件、大阪が21件。他は数件です。法人破産件数が7,975件あることを考えると、明らかにこの手続きが再生希望者から敬遠されていると言えるでしょう。[社会的な存続の要請の強い企業は、再生できる]以上は、一般的な企業の場合です。病院や私立学校、地元の核となる企業等は、簡単には破産させることはできませんから、債権者は大幅な債権カットに応じます。(一時、銀行の勧めたデリヴァティブ取引で損失を受け資金的に追い詰められた企業は、財務省の指導もあり、民事再生が使えました。しかし、これは、特殊な条件下での例外と認識してください)[結論]原則として、病院や地域の中核企業等、破産することでより甚大な被害をもたらす企業は民事再生での再生も可能ですが、単に経営者が「つぶしたくない。経営権を保持し続けたい」という想いだけでは民事再生は無理です。それでは、実務は、どうしているかというと、別の方法での再生を図っています。次回からは、その方法について述べて行きます。[破産制度を利用した簡易な事業再生の勧め]「破産制度を利用した簡易な再生」が利用できる場合、つまり経営資源がモノ以外の場合は、その方法によるべきです。詳細は、「破産制度を利用した簡易な事業再生 Category:企業再生 Date:2015年11月20日」をご覧ください。この方法で、昨年1年間の弊所取扱い案件で、10社以上の方が再生して事業を継続しています。再生のための費用はゼロです。([書籍のご案内]以上の記述は、弊所代表弁護士森公任・森元みのりの「倒産法の全て」からの記述を基にしています。より詳しい情報が必要な方は、下記の本を購読されるか事務所に相談にきてください。http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4054(注)会社破産の制度一般については、弊所代表弁護士森公任・副代表弁護士森元みのりの「倒産法の全て」148~189頁で、一般の方向けに簡潔かつ簡易に記載してあります。より全体的な情報が必要な方は、下記の本を購読されるか事務所に相談にきてください。http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4054是非 ご購読ください。(大学でテキストとして利用されています。また楽天ブックス・ベストセラーの一冊になっています。)「図解で早わかり 倒産法のしくみ」森公任 森元みのり 共同監修http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4054定価: 1,890円(本体:1,800円+税) 「法的整理から私的整理まで、様々な倒産制度のしくみや実務上のポイントがわかる。また、解散・清算、M&Aの知識まで倒産関連の知識を集約。さらに、法人破産以外の個人民事再生や個人破産についてもフォローした一冊! 」[専門家向け書籍]「簡易算定表だけでは解決できない養育費・婚姻費用算定事例集」新日本法規出版株式会社編著/森公任(弁護士)、森元みのり(弁護士)https://www.sn-hoki.co.jp/shop/product/book/detail_50910.html■価格(税込):3,780円平成27年9月発売「★適切な養育費・婚姻費用を算定するために!◆「養育費・婚姻費用算定表」を単純に適用できない、さまざまな事情を抱えた事例を取り上げ、増額や減額の要因となる事情別に分類しています。◆各事例では、算定上の「POINT」を示した上で、裁判所の判断やその考え方についてわかりやすく解説しています。◆家事事件に精通した弁護士が、豊富な経験を踏まえて執筆しています。 」(発売10日で増刷決定!おかげさまで爆発的に売れています!)[一般向け書籍]「カラー版 一番よくわかる 離婚の準備・手続き・生活設計」 共同著編者 森 公任・森元 みのり 2015年07月 発売http://www.seitosha.co.jp/2_3950.html販売価格 1,404円 離婚に悩むあなたの「知りたい」に応える決定版!!「離婚という難題に直面している方の一歩を踏み出す道しるべになる本書は、離婚が認められる理由から、離婚までの準備、お金や子供についての考え方、離婚に関わるさまざまな手続きまで、離婚前後のあらゆるステージを網羅し、図解&イラストでわかりやすく解説しています! 」(発売から現在まで、Amazon・家庭法部門でナンバー1のベストセラーになっていました)代表弁護士森公任と副代表弁護士森元みのりで、そのほか下記の本を出版しています。是非、ご購入ください。[遺産相続関係]「図解 相続・贈与・財産管理の法律と税金がわかる事典」森 公任・森元 みのり 共同監修2015年05月 発売定価: 1,944円(本体:1,800円+税)http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4172「人の死と同時に必ず発生する相続。相続が発生した場合の相続分、遺言、遺産分割、登記、裁判所での調停などの手続き、相続税知識まで幅広くフォローしています。また相続が発生する前から準備をしておきたい事項について、贈与税の知識や生前契約、成年後見、信託などの財産管理契約のしくみについても解説しています。相続登記申請書、遺言状、契約書、家事調停手続きなどの書式サンプルも豊富に掲載しています。平成27年度の税制改正にも対応した安心の1冊です!」「相続・遺言をめぐる法律と税金トラブル解決法129 」 森 公任・森元 みのり 共同監修1,944円(税込)1,800円(税抜) 三修社http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4116「非嫡出子の相続分改正や平成27年1月施行の相続税制改正など、最新の内容をわかりやすく解説! 相続の基本ルールから遺言、財産評価、遺産分割、 相続税・贈与税対策まで。法律・税金の重要事項、手続きを幅広く網羅」【本書でとりあげる主なテーマ】相続の基本ルール/遺産分割/遺言書の書き方/相続財産の評価/相続税・贈与税のしくみ/税金対策/相続問題をサポートする機関や相談先/公正証書作成/調停や審判の手続き/相続登記/申告手続き など「ケース別相続分早わかり」など、豊富な図解とQ&Aで相続問題を平易に解説!「最新 図解で早わかり 改正対応! 相続・贈与の法律と税金」森公任 ・ 森元みのり 共同監修 http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3992 三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)「本書では、相続分や遺産分割、遺言など相続のしくみについて詳細に解説するとともに、相続税や贈与税のしくみ、教育資金の一括贈与に伴う贈与税の改正など平成25年度の税制改正についてわかりやすく解説しています。さらに遺言書や相続手続きにそのまま利用できる書式なども掲載し、相続手続きをスムーズに進めることができるよう工夫しました。」 PR